
皇海山(すかいさん)の紹介
皇海山は「すかいさん」と読みます。普通これは読めないし、だからという訳でもないですが、関西人の私には全く馴染みがない山でした。東京に住んでいる頃、こうした馴染みのない山と出会うのが楽しくなったのでした。知らない山を案内してくれたのは日本百名山でした。特に皇海山は日本百名山で深田久弥氏が次のように記していて印象的でした。
その頃はまだ日本にもどこから登っていいか分らず、自分で道を見つけ、迷い、藪を漕ぎ、野しゃがみをし、ようやく頂上に達するという、本当の山登りの楽しさを味わえる山があったのである。
もうそういう山は殆んど無くなった。しかし開けてしまった山々のうちでも。皇海山などはまだ訪う人の少ない山に数えられよう。
深田さんが、ここまで肯定している山は珍しいと思います。
皇海山は群馬県と栃木県の県境にあり、足尾(あしお)山地の盟主とされています。標高2,144mで原生林をまとった姿はどっしりとして風格があります。
かつては不動沢コースという道があり「比較的短時間で登れる百名山」でしたが、アプローチとなる栗原川林道が通行止となって事実上このコースは使われなくなりました。そこで脚光を浴びたのが、今回紹介する庚申山荘から皇海山を往復するもので、歴史のある道であることから「クラシックルート」と呼ばれています。庚申山荘を利用して、庚申山〜鋸山を経て皇海山山頂に至り、鋸山から六林班峠を経て庚申山荘、下山するものです。コースタイムは14時間半(登山アプリより)と重厚なルートです。
【注意】
私が行った時は庚申山荘を利用できたのですが、日光市のHP(2024/4/5)によると、「建物に使用上の不具合が判明したため、しばらく施設の利用を停止」することに。「修復には時間を要し令和8年4月の利用再開を予定」しているとのこと。
ですので当分「国民宿舎足尾の宿かじか」の宿舎かキャンプ場から日帰りするしかなくなりました。
日帰り最難関であることは間違いないと思います。
■足尾山地・皇海山(2021/10/2-3)
1.かじか荘(10:50/13:30)庚申山荘
2.庚申山荘(4:35/8:45)皇海山(9:00/10:35)六林班峠(10:45/12:50)庚申山荘(13:10/14:50)かじか荘
わたらせ渓谷鉄道で原向駅へ ローカル線でのんびりアプローチ

上野駅から東武線に乗って相老(あいおい)駅までやってきました。ここまでも相当時間がかかりました。相老からは、さらにわたらせ渓谷鉄道に乗り換えます。
駅員さんが切符を発行してくれたのですが、これが該当する目的地、料金にパンチて穴をあける、なんともレトロなものでした。

神戸という駅では、夢鉄道トロッコ弁当が売りに来て、買ってみました。ヒラタケのご飯に天ぷらと山菜味豊富なお弁当でした。沿線で鉄道をもり立てているのを感じます。

わたらせ渓谷鉄道の原向(はらむこう)駅で下車します。

当初の予定では駅から歩くつもりだったのですが、他の登山客が頼んでいたタクシーに便乗して乗せてもらい(代金は割り勘とした)、国民宿舎かじか荘へ。ラッキーでした。
1日目:巨岩が点在する道を辿り、庚申山荘で一泊

入山届と庚申山荘の代金2,080円を支払って出発。林道を歩いて一の鳥居から登山道となった。

一の鳥居から登山道になります。

最初は渓流沿いの道で、気持ちの良い森林も相まって癒されます。

巨岩が緑の中に点在していて、なかなかおもしろい。悲しい伝説もある。
鏡岩は孝子別れの処とも呼ばれています。山で遭難しかけていた猟師を猿がたすけ、その見返りに猟師はなくなく三女を猿の嫁に差し出しました。父娘がその後再会したときには娘は猿に姿を変えていたとのこと。
意に反する嫁入りと考えれば、リアルな話だなあと思いました。
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昔は庚申講(こうしんこう)の信仰の登山だったそうですが、いまはほとんどいないそうだ。やがて庚申山荘に到着。

庚申山荘は素泊まり専用。毛布もあるが自分も含めて、ほとんどの人は寝袋持参だった。合計20人ぐらいは宿泊しただろうか。

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されたからか?酒に酔い大きな声で話す人がいて「酔っ払いって面倒臭いなあ〜」と久しぶりに思った。20時半には静かになりました。
2日目-1:庚申山荘から登り、朝日に照らされる皇海山と対面
翌日は4時に起きて4時半過ぎに出発。ヘッドランプ行動。昨日のうちに小屋からの道に見当をつけておいてよかった。
くるくると岩塊の間を縫うように道がつけられている、と思う。明るければ奇岩林立の感じがわかるのだろうけど、真っ暗でわからない。

やがて庚申山に到着しました。ここでみかんを食べて元気を出す。

ちょっと行くと視野が広がって、皇海山がどーんと目の前に見えた。どしりとした立派な山容だ。

ヘッドランプの時に非常に役立ったのが下の写真の蛍光目印だ。本当に助けられました。

やがて鋸山が見えました。
2日目-2:鋸山は第一の核心部 露岩やハシゴは高度感出ます

鋸山は今回の登山の核心部と言われるところです。人がいるのが見えます。

下の写真は核心部の取り付き部分。鎖に沿っていけば大したことありません。

ロープがまっすぐに伸びていて、たどって行くと最後にちょっとスリップが許されない緊張感ある露岩が。ここは身体が空中に飛び出す感覚がありました。みんなこんなところ大丈夫なんだろうか?

核心部を超えたピークから一度ギャップを梯子を使って下ります。結構な高さですよ、これ。

鋸山に到着しました。ここでウィダーinゼリーを食し、元気を出します。

目の前には皇海山です。ラスボス感出しまくりです。

北の方向に日光の山が見えた。日光白根山や男体山ですね。

鋸山から激下りです。ロープがつけられています。「帰りはこれを登り返すのか」とちょっと嫌気になりました。(実際は思ったほどしんどくなかった)

2日目-3:不動沢のコルからついに皇海山頂上へ
やがて不動沢のコルに到着しました。ここから鋸山を見上げると、なるほどギザギザです。

皇海山は不動沢のコルに近いところに栗原川林道があったため、かつては簡単に登れるようになっていたのですが、台風のため林道が寸断され、いま私がたどって来た長いルート「クラシック・ルート」しかないのです。

辛抱して登っていると皇海山の山頂に着きました。展望もなく、何となく気分は晴れませんが、予定より早い到着です。

2日目-4:第二の核心部 六林班峠コースは笹藪を漕いで
よ〜し、このまま行って早い電車に飛び乗ろうと気分をあげます。鋸山に登り返し、六林班(ろくりんぱん)峠方面へ足を踏み入れます。


よく見ると富士山だ

歩いている時は、真っ暗でどんな山か分からなかったけど、庚申山。これもどっしりしていていい山です。

この道は藪漕ぎがあって、ルートを見失う恐れがあることから第2の核心と呼ばれています。時々背丈ほどもある笹があるものの、足元は刈られていて迷うことはありません。

六林班峠に到着です。10時半過ぎ。最後のみかんを食べます。

このコースはよくこんなに高低をつけることなくトラバース道を作ったものだ、と感心するほどです。そして森がとてもきれい。一部で紅葉が始まったようです。
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巨木もそこかしこにあって、庚申山荘近くではまたまた巨岩が点在しています。神様が配置したかのようです。一の鳥居まで戻り、林道を歩いていると電波(docomo)が通じたので、タクシーをかじか荘に呼んで、15時22分のわたらせ渓谷鉄道に乗ることができました。あ〜しんどかった。
いろんな人が言うほどつまらない山ではありません。岩場あり、藪あり、森林がきれいとアピールポイントがいくつもあります。そして行動時間の長さが、行程の戦略を考える上でとても頭の体操になります。行動を終えた今、思い出すと思わずニンマリしてしまいます。
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