
岩手山の紹介とアプローチ、コースタイム
ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな
かにかくに渋民村は恋しかり おもひでの山おもひでの川
いずれも石川啄木の歌です。「山」とは岩手山とも姫神山とも言われていますが、石川啄木が岩手の故郷を懐かしがって歌ったことには間違いありません。「川」は北上川でしょう。
岩手山(2,038m)は盛岡市内からも、ビルの合間からドキッとするくらい間近に見ることができます。この山を毎日見る人にとって、心の中の山であろうことは容易に想像できます。また「南部片富士」とも呼ばれていて、北や南から見ると片側が削げ落ちたような姿を見せ、見るたびに「ほぉーっ」と感心させられるのです。
深田久弥も岩手山は絶賛しています。
北へ向かう急行が盛岡を出て間もなく、左側に、ポプラ並木の梢越しに見えてくる岩手山は、日本の汽車の窓から仰ぐ山の姿の中で、最も見事なものの一つだろう。
深田は11月の初めに網張温泉から湿原を通って不動平に出て頂上に登った末に、姥倉山から松川温泉に下山しています。
ここでは電車で滝沢駅まで行って、タクシーに乗って馬返し登山口へ。柳沢コースで頂上に登った後は焼走り登山口に下山して、日帰り温泉に入った後、やはりタクシーで大更駅に出るコースを紹介します。
コースタイムは(お鉢巡りなしで)7時間55分です(山と渓谷社ガイドブックより)
2022年10月の東京在住の頃の山行です。
■岩手山 (2022/10/1)
馬返し(6:30/10:05)岩手山(10:25/12:55)焼走り
滝沢駅からタクシーで馬返し登山口へ
前週(岩木山)に続いて東北の山へ。紅葉の頃に東北の山に登りたいと思っていたのです。ですが休みとお天気、私的な行事のタイミングが合いません。とんぼ返りの山行となりますが「東京勤務のうちに」と夜行バスに乗って盛岡へ。
盛岡には朝の5時20分ごろに着いて42分のいわて銀河鉄道に乗り換えて滝沢駅まで。車中から見える岩手山は「南部片富士」の名前通り、左側が削げていて荒々しさを感じます。そこで他の登山客とタクシーを相乗りして(3,500円)馬返しの登山口へ。すでに駐車場は満車に近かったです。

馬返しの登山口にはトイレがあって、水場はジャバジャバ水が出ていました。

そこから樹林の中の道に入って行きます。
柳沢コース新道で八合目避難小屋まで

途中から旧道と新道に別れますが、ここは新道を選びます。だいたい山で新道と言うと踏み固められていないやや無理に作った道が多いのですが、ここはそうでもありません。


この日はよく晴れました。右側の高い山は早池峰山とのことです。

旧道を歩く登山者が見えます。あとで旧道を歩いた人に聞くと遮る樹林がないので照り返しが強かったとのことでした。その代わり景色は良さそうです。見えている岩は「大蔵岩」だろうか。

急登を登り終えると平らな道になりました。

やがて八合目の避難小屋につきました。トイレもあります。中は見ていませんがとても立派な小屋でびっくりしました。ここでも水がジャバジャバ出ています。途中でこんなに水の補給ができるのはありがたいです。

それから不動平まで歩きます。
不動平からは日本離れした絶景が続く


岩手山がどっしりと構えています。途中から右と左に道が別れているのがわかるでしょうか。今日は「お鉢巡り」をしたいので右手の道へ急登を登ります。

振り返ると不動平が外輪山に取り囲まれているのがよくわかります。

お鉢巡りをして、遮るもののない薬師岳頂上へ
お鉢巡りはまずお鉢の中に入って行って岩手山神社によります。

大きな刀が天に向かって刺さっていました。刀は日光男体山でもありました。山岳信仰の象徴なのでしょうか?

そこからお鉢に登り返します。トンボがたくさん飛んでいました。

お鉢巡りに登りあがると、石塔が立ち並んでいます。安政4年と明治42年の2回に渡って奉納されたものだとか。あたりを無数のトンボが飛んでいました。秋だなあ〜

サザエさんのようなヘアスタイルで可愛い…

お鉢の中には「妙高山」と言う均整のとれた小山があります。火山の中にある火山。岩手山は一応今でも「噴火警戒レベル1活火山であることに留意」(2022年時点)の山なのです。

最高点となる薬師岳(2,038m)の山頂は大勢の人で賑わっています。さすが日本百名山。

山頂からは八幡平の平らな山々を見下ろすことができます。かつて葛根田川を沢登りしたときは、岩手山がこんなに近い山だとは知らなかった。その時に下山口となった松川温泉は岩手山の登山口でもあったのです。今思い返しても、あの沢登りは最高でした。

平笠避難小屋を経て焼走り登山口へ 日帰り温泉・冷麺を食す
そこからはもう何も考えずに焼走りまで下山します。途中で茶臼岳がボコボコと尾根状にそそり立っていた。茶臼岳の麓には平笠避難小屋があって、泊まり客もいるのか賑やかでした。


長いので意外としんどかった下山。
登山口にようやく着いて、焼走りを散策。溶岩が川のように流れ、そして冷えてできた黒い溶岩がデコボコと辺り一面に広がっています。ここから見る岩手山はとても秀麗な姿です。


登山口から少し歩いて「焼走りの湯」でお風呂に入る。
タクシーを呼んで(2940円)大更駅まで送ってもらい、電車はないので、そこからバスに乗って盛岡へ戻りました。盛岡では「ぴょんぴょん舎」というお店で冷麺を食べました。美味しかったです。

この冷麺にイーハトーブの名前がついていて、ここが宮沢賢治を生んだ土地だったと今更ながら気づきました。
石川啄木に宮沢賢治。なんと心根の強い人を岩手は生んだのだろう。すごいところだと思うと同時に、その心の中に岩手山があることに気づいた。
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