
はるか東北の富士山に似たコニーデ型火山の山。深田久弥が「山容秀麗という資格では他に落ちない」と称した山。日本百名山踏破者が一番勧める山、などなど。いろんなところで絶賛されている鳥海山。本当は山スキーで登りたいところですが、その時期を待っているといつ実現するかわからないので、公共交通機関が使える夏のシーズンに思い切って行ってきました。東京に在住していた2023年7月の山旅です。
■鳥海山 2023/7/30
鉾立(7:00/10:35)鳥海山新山(10:40/外輪山ー鳥海湖経由/14:45)鉾立
今回は東京と秋田・象潟(きさかた)の往復を夏の間の週末限定で走る夜行バス「エキスプレス鳥海」を使用します。21時50分に東京駅八重洲口を出発したバスは翌朝5時45分に象潟駅に到着しました。6時20分発の寄合バス、鳥海ブルーライナー(3,000円。7〜10月第2週までの土日祝のみ、予約必要)で登山口の鉾立まで登っていきます。片道3,000円は少し痛いけど仕方ないですね。
鉾立の登山口は食事や土産物が買える山荘、ビジターセンターやトイレ、駐車場がありました。帰ってから調べたらモンベルの「鉾立山荘」という小屋もあるので、中を覗いたらよかったと、後悔。
身支度を整えて出発です。さすが百名山だけあって、石が置き敷かれた整備された道が続きます。歩き始めて間もなくで展望ポイントがありましたが、ここから仰ぐ鳥海山の山頂はだいぶ遠いです。
尾根状からやがて広々とした景色が広がりました。賽の河原はもうすぐです。
賽の河原に至ると、これでもかというくらい高山植物が現れます。花の名前はGoogleレンズやインターネットのいろんな方のページを見て同定したものです。間違っていたらご指摘ください。
マルバキンレイカ
シロバナクモマニガナ
イワイチョウ
チョウカイアザミ
ニッコウキスゲ
ウサギギク
ハクサンシャジン
ハクサンフウロ
御浜小屋に着きました。「熊の出没に注意」の看板にギクッとしますが、Youtubeで実際に子熊が屋根の上を歩いているのがアップされていました。人も多いので熊鈴をつけてないのだけど大丈夫かな…
御浜小屋は鳥海湖を見下ろすことができ、多くの人がカメラ(スマホ)を構えていました。
さあここからは扇子森というなだらかな尾根を進むのですが、このあたりの雰囲気がとってもいいですね。行ったことがないけど、なんとなく南米ペルーの山へのアプローチという感じがしました。ちょっと日本離れした景観なんですよね。
トウゲフキ
ハクサンイチゲ
七五三掛から一段尾根を上がったところが分岐点となり、左手の千蛇谷へ降りていきます。降りたところの雪渓を一回わたって、そこからは地味に登りが続き、割と消耗しました。休憩をとるたびに、パンやソーセージ、バナナなどを口にしてシャリばてを防ぎました。
御室小屋に着いてすぐに新山への登りに取り掛かります。新山は1801年の噴火でできたピークだそうで、まだ岩がごつごつしています。
これがなかなかのルートでして、大きな岩塊の割れ目を下ったりするので変化があって面白かったです。スタンスやホールドがしっかりあるので、難しくはありませんが、慣れない人は下りが大変かもしれません。
岩をよじ登っていくと新山に着きました。山頂は小さめです。日本海を見下ろすことができ、青空も相まってとってもきれいです。海が見える山っていいですよね。鳥取の大山や青森の岩木山もそうだったかな。山頂から降りたところに胎内くぐりの場所がありました。今現在は安産を祈願する該当者がいないものの、将来に向かってお祈りしておきました。
復路は外輪山と鳥海湖を巡りました。外輪山は右側がスパッと切れ落ちていて、往路の千蛇谷コースがよく見えます。
左側はなだらかな斜面が続き、なるほどスキーで滑ったら気持ちいいだろうな〜と思います。高山植物も相変わらず豊富です。すれ違ったツアーガイドさんに固有種「チョウカイフスマ」を教えてもらいました。
イワギキョウ
ミヤマキンポウゲ
チョウカイフスマ
たったか下って、帰りのバスの時間と見あいながら鳥海湖方面へ。鳥海湖は青空を映し出して神秘的です。近くで見てみると澄んだ水の色をしています。雪解け水が流れ込んでいるからなんでしょうか。
御浜小屋で一般ルートに再合流してあとは鉾立の登山口を目指します。登山口には14時50分。余裕でした。
食堂でビールを一本飲んでカメラの写真の整理をしていたら16時20分となって鳥海ブルーライナーに乗って、道の駅「象潟ねむの丘」まで行って、旬だという「岩牡蠣」と生ビール、刺身定食を食べて満たされました。お土産は地元推しに乗っかり「潟の松風」という日本酒と、いぶりがっこを買いました。
象潟は日本の夕日百選に選べれているそうでしばらく落日を眺めておりました。波の音が静かでこんなにのんびりと夕日を眺めていたのはいつぶりでしょうか。水平線の間際では雲がありましたのが、十分雰囲気は味わえました。
象潟は松尾芭蕉の「奥の細道最北端」と呼ばれているそうです。当時は松島と並び称された景勝地だったそうですが、1804年の地震で2メートルも隆起してしまったのだとか。日本海側も時々地震がありますもんね。鳥海山の新山は1801年の噴火だったので、この頃鳥海山周辺は大変な事態に見舞われていたのですね。
象潟駅まで20分ほど歩いて戻りましたが何にもすることがありません。駅の冷房も止まっています。道の駅近くのガストで時間つぶしをすればよかったと思ったものの、そこまで戻るのも面倒くさく、夜風にあたりながら気合いで時間をつぶしました(笑)。
22時20分の夜行バスに乗るとさすがに往路よりは寝ることができました。翌日はいったん家に帰ってから、普通に出勤しましたが、さすがに眠たかったかな。
特急と新幹線を乗り継げばその日じゅうに帰れたのですけど、あまりにもせわしく感じたので往復夜行バスにしたのですが、新潟まで出て食事をして夜行バスに乗る手もあったなあと、でもまあ夕日も見ることができたし良かったということで。
鳥海山は日本海近くのロケーション、その大きさ、高山植物の豊富さ、雪渓あり、岩場ありでみどころがたくさんありました。しかも道がしっかりしていて日帰りができる。
皆さんが絶賛するのも納得の山でした。
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