室生(むろう)赤目青山国立公園は奈良県と三重県にまたがっている山間部の国立公園です。近鉄電車が四季折々のPRに余念がないところでもあります。室生寺や青山高原、赤目四十八滝が有名ですが、青蓮寺(しょうれんじ)川沿いにも青蓮寺ダムや小太郎岩のある香落渓(かおちだに)、それに今回ご紹介する奥香落渓(おくこおちけい)が人気スポットとなっています。香落渓と奥香落渓の違いは同じ青蓮寺川沿いだけど下流の三重県と上流の奈良県の違いだと思います、たぶん。
奥香落渓では曽爾(そに)高原が有名です。秋には金色、銀色に輝くススキが織りなす絶景が待っています。温泉施設もあって若い女性にも人気です。そちらは私も行ったことがあるのですが、たまに写真で見かける屹立とした岩峰はなんとなく気にはなってはいるものの、今一つメジャーになりきれていないように思います。正直あの岩峰が鎧(よろい)岳なのか兜(かぶと)岳なのかの区別もついていませんでした。そんな奥香落の岩峰に挑んだ(と言ってもガイド本でコースタイム4時間ほどのハイキングの)2024年9月の山行です。

■奥香落・兜岳と鎧岳 (2024/9/23)
曽爾横輪(8:50/10:10)兜岳(10:15/10:55)鎧岳(11:00/11:45)新宅本店前近く県道81号線(11:45/12:25)新嶽見橋
1.近鉄名張駅からバスで曽爾横輪へ
奥香落渓には近鉄名張駅東口発8時2分のバスに乗りました。始発バス停は名張駅西口なのですが、この8時2分の便だけ東口を経由するようです。なんででしょうね。曽爾横輪まで870円です。交通系IC使えます。バスは私含めて乗客4人を乗せて名張駅を出発しました。

バスはやがて名張市街地を抜け、名張川から青蓮寺川と名前を変えた清流沿いに走ります。近大の高専があったりしてぼんやりしていると、突然青蓮寺(しょうれんじ)ダムが目に飛び込んできます。ダム施設で大きく「ダムカード」という文字が見えましたが、コレクター人口はいかほどのものなんでしょう?

約50分ほどバスに揺られていると目的地の曽爾横輪バス停に到着しました。バスが立ち去ると私一人だけが残されるといういつものパターンです。バス停に着く直前に尖峰が見えたような気がするのですが、今はもう見えません。角度によって見え方がずいぶん違うようです。
バス停の時刻表を見ると、1日に上下とも5便あります。各地で次々にバスの運行が廃止に追い込まれている中、まだ便数はある方ではないでしょうか。貴重です。


2.兜岳から鎧岳へ 急登はありますが普通に登れます
さて横輪の集落から見上げますと兜岳がこんもりとありました。車道を進んで途中ショートカットすると施設がありました。キャンプ場の「サンビレッジ曽爾」です。家族連れの平和な声が聞こえてきます。「こういうところで1泊しながらここら辺の山を集中登山するのもいいかもな」なんて考えていました。
長走りの滝というのもあった。上流には済浄坊渓谷というのがあるそうだ。ナメ滝が連続するという。


延命地蔵(通称、目無し地蔵)は眼病に効くとか、ダルマに目を入れる習慣からか「選挙前には参る」との通説もあると地元の方と思われるブログも見ました。ダルマに目を入れるというのも今となっては過去のことだろうか。この右手に道が延びていそうなのですが、藪が濃いので引き返していると、後続のトレラン風の男女2人と合流。3人で突入しかけましたが、車道沿いに登山口があると聞き私だけ安全牌をとって車道から向かうことにしました。


杉林の中を降りていき、沢の流れを渡っところから急登が始まりました。


この日は風もあるし気温も和らいで、うっすらと汗をかくぐらいです。やっと秋が来たのかな。
やがて緩やかになって割とあっけなく兜岳の頂上に立った。東面が切り払われていて曽爾高原と倶留尊(くるそ)山が見えました。

頂上を後にして今度は急な下りです。たしか15分ほどで逢坂峠に着きました。


兜岳を登り、ようやくあの尖峰が鎧岳という名前だと知ったワタクシ。次なる目的地は鎧岳です。もう杉林の中の急登をズンズン登っていきます。標高差200メートルもなかったかもしれません。途中で延命地蔵で会話したトレラン風男女が下りてきました。地蔵横の藪は一瞬だったということでした。でもまあ今は車道からの道がメインになっているのだろうなと自分を納得させるのでした。


鎧岳の山頂は展望がなく、お茶を沸かすにも腰掛けれるような石もないので、そのまま下山します。予定では新宅本店前バス停から帰る予定ですが、時間も早いことだしお店のある太良路(たろうじ)まで行こうかと考えます。下山しながら「待てよ、尖峰の写真がないな、この機会を逃すともう撮影できないかもしれない」と考えました。
そこで出発点となった曽爾横輪方面に歩いて行って、撮影ポイントを探すことにしました。
3.鎧岳の撮影ポイント探しに 郵便局員さんのオススメは…


郵便局の局員さんがいらっしゃったので「鎧岳が格好良く写っている写真はどこで撮影できるか」聞いて見ると、「2〜3キロ先に27(ツーセブン)という宿があってその橋からがいいと思う」とのことでした。2〜3キロかぁ、ほとんど出発点の横輪の近くまで行ってしまうな、と考えつつ脚を進め、たどり着いてみると…出ました。イメージ通りの鎧岳です。


橋を渡ったところに公園の東屋があったので、そこでお湯を沸かしラーメンとコーヒーを飲みます。おやつはみかん。バスの時刻は14時18分。食べ終えてまだ1時間強ありますが、嶽見橋バス停まで戻って、そこでゆっくりバスを待ちました。
最初見たときは「どうやって登るんだろう?」と思ったものでしたが、急登はあるものの距離も短く、意外と苦もなく登れました。関西では貴重な火山群です。個性的な山や岩壁、ススキ、温泉となかなかない観光の目玉もあります。
鎧岳はトイレもないし、ベンチもないし、展望も思ったよりなく、どうも最近のいたせりつくせりの登山整備はなされていません。もう少しメジャーになってほしい反面、このまま登山客が少ない方がいいなあとも思いました。
あと少しおせっかいですが、もし同じコースを辿るなら、新嶽見橋でバスを下車して鎧岳を撮影した後、曽爾横輪まで歩いて登山をスタートするのがいいかもしれません。
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