甲武信ヶ岳は山梨県=甲斐、埼玉県=武蔵、長野県=信濃の3県にまたがる奥秩父の代表的な山です。千曲川(信濃川)、荒川、笛吹川(富士川)の源流でもあり、なにやら日本のヘソ的存在を醸し出していますが、実は三角点もないピークなのです。日本百名山に選ぶにあたり深田久弥さんは「コブシという名前のよさ−歯切れのよい、何か颯爽とした山を思わせるような名前のせいかもしれない」と、こちらは歯切れの悪い書きぶりです。笛吹川から登った印象が良かったのかもしれません。
今回は山梨側の徳ちゃん新道から登り、甲武信小屋でテント泊して千曲川(信濃川)水源をみて信州側の毛木平に下山する行程です。2022年10月の山行です。

■甲武信ヶ岳 2022/10/22-23
1.西沢渓谷入口バス停(9:40/14:00)甲武信小屋(14:40/14:50)甲武信ヶ岳(15:10/15:20)甲武信小屋
2.甲武信小屋(5:30/6:25)千曲川信濃川水源地標(6:30/8:50)毛木平(8:55/9:45)梓山バス停
紅葉の西沢渓谷から徳ちゃん新道を登り甲武信ヶ岳へ
東京からとなるとJR塩山(えんざん)からバスに乗って西沢渓谷ということになります。さすが日本百名山でもありますし、紅葉の季節とあって、西沢渓谷の散策の人もたくさんいるようです。8時半塩山発のバスに乗って1時間、西沢渓谷入口に9時半過ぎに到着しました。

西沢山荘手前を「徳ちゃん新道」に入ります。だいたい「新道」と名のつく道にロクな道はないと決まっていますが、案の定ずっと急登が続きます。もう堪忍してくれ〜と泣き言も言いたくなります。



そんな時に富士山がめちゃ綺麗に見え、いっときしんどさを忘れることができました。お富士さま、あんたはやっぱりすごいよ。

鶏冠尾根はバリエーションとして聞いたことがあります。いっぺん挑戦したいもんですね。

ようやくのこと木賊山(とくさやま)に登ると、やっと甲武信ヶ岳が見えました。奥深いところにあるんだなあ。信州と甲州と武蔵の国境にある山。荒川と笛吹川(富士川)、そして信濃川の源流がここにあります。


そのまま甲武信ヶ岳に登りました。秩父の山々が見えます。左から国師ヶ岳、金峰山、小川山。その向こうにはアルプスの山々も。奥秩父って特別高い山はないけど、2000m級の山がいっぱいあって、高山の雰囲気を割と手軽に経験できるのがいいですね。関西人の私には羨ましいです。


甲武信小屋でテント泊、予約制で1泊1000円
今日の宿泊は甲武信小屋でテント泊です。甲武信小屋はテントも予約制で1泊1000円です。水は1L100円。(2024年10月時点)

ジフィーズを食べて、ピーナッツをつまみにお酒を飲んでいたら、眠たくなって早々にシュラフに入りました。すると案の定夜中に起きてしまって、用を足そうと外に出ると満点の星空です。せっかくなのでカメラを15分置いて、ライブコンポジットというモードで撮影してみました。

星を見ていると自転している感覚が不思議に湧いてきて、何万年も何億年も前から、大きな大きなからくり時計が繰り返しこの星空を動かしているような気がします。
テン泊して信濃川水源地を訪ね、長野側の毛木平へ下山
撮影している頃はそうでもなかったのですが、その後急激に寒くなってきて、眠れなくなりました。
結局4時に起きて焼きそばを食べてコーヒーを飲んでオレンジを食べてテントをたたんで5時半に出発。


甲武信ヶ岳にもう一度登って夜明けを頂上で迎えます。ご来光を見にきた多くの人を頂上に残して、私は毛木平へ向けて斜面を下り始めました。

分岐を右にとってしばらく行くと大きなポールがありました。ここが千曲川信濃川水源地標です。

ここから湧出した水が千曲川となり、日本一の大河、信濃川となって日本海に注ぐのです。なんだかロマンチックだな〜


この道は苔に覆われた瑞々しい風景が続きます。日本庭園のようです。

シラビソ、ダケカンバなどの森林と、すでに力強く流れを増している千曲川が心を穏やかにさせてくれます。

登りもきつくなく、時間があってアプローチできるならこの信州側から登るのが一番いいでしょうね。

やがて毛木平に着いて、バス停のある梓山まで1時間歩きます。高原野菜マークの白菜の畑が広がります。雄大な景色でちょっと北海道のようです。開拓の碑がありましたから、先人が苦労して開拓した土地なのでしょう。

梓山バス停には9時45分ごろに着きました。ここまで歩けば川上村営バスはそこそこあるので助かります。バス停で着替えたりして、10時17分信濃川上駅への川上村営バスに乗り込みました。

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