
イントロ 後山の紹介とアクセスについて
後山(うしろやま)は岡山と兵庫の県境にまたがる岡山県の最高峰で高さは1,344m、関西百名山にも選べれています。「西大峯山」とも呼ばれているこの山は修験道が栄え、岡山県美作(みまさか)市の道仙寺の奥の院は現在も女人禁制を敷いているそうです。
一帯は氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園に指定されていて、岡山側がとても綺麗に道が整備されているのに対し、兵庫県側は藪が濃くて、道標も最小限で「修行」のような険しさでした(実感…)。
後山を普通に登山するなら岡山県側をお勧めします。駒の尾山登山口(西粟倉)から往復270分、船木山登山口からは往復210分かかり(美作市のトレッキングマップより)、いずれもマイカー利用となります。駒の尾山と後山をつなぐ稜線はアップダウンが少なくて展望がよく、「美作アルプス」とも呼ぼれています。
以前は美作市のシャトルバスや予約型タクシーがあったようですが、現在は廃止されたようです。
このため一般的に交通アクセスはマイカーに限られているようですが、「公共交通でなんとかならないかな」と調べていると、智頭急行の西粟倉(にしあわくら)駅から駒の尾山に登り、稜線を縦走して後山に至り、兵庫県側に降りて神姫バスの松ノ木バス停に下山した記録を見つけました。松ノ木バス停の山崎方面バス時刻(土日祝)は15時49分と17時44分です。これならなんとか日帰りできそうです、ということで行ってみました。
■西粟倉駅〜駒の尾山〜後山〜松ノ木バス停
西粟倉駅(9:45/12:15)駒の尾山(12:20/13:30)後山(12:35/15:25)松ノ木バス停
智頭急行・西粟倉駅から駒の尾山登山口へ 長閑なロード

JR山陽線の上郡(8時50分発)から智頭急行に乗り換え、途中特急に抜かされたり、上下線すれ違いのため時間待ちしながら、のんびりと電車の旅を楽しみます。智頭急行は窓が大きくてちょっと観光列車に乗ってるかのようです。
9時43分、西粟倉駅で下車したのは私のみ。トイレで用を済ませ出発です。西粟倉には高速道路のICがあるそうですが、そう感じさせない長閑な風景が広がっています。おしゃれそうな宿泊所もあったので、若者らの移住先になっているのかもしれません。

村立の幼稚園(!)の手前を右に折れて、アスファルトの道をひたすら歩きます。駒の尾山と思われる稜線が見えます。登山口はだいぶ登らなければならないようです。

ロードをやっと登りきると駒の尾山登山口(西粟倉)です。大きな屋根が見えた時にはキャンプ施設でもあるのかと思いましたが、トイレと休憩所でした。結局、駅から1時間40分ほどかかりました。やっとスタートラインに着いただけなのに。うーん、予定より少しオーバーしてるなあ。

美作アルプス縦走 駒の尾山登山口から後山へ

登山口はとても整備されていて安心して登山できそうですが、逆に熊注意の看板が赤くて緊迫感を高めています。後ほど熊の糞を途中で見たので注意必要です。なのに、きょうの私は熊鈴を忘れてしまいました。大丈夫なのか?

駒の尾山まではとても良い道。真ん中に手すりがあって、すれ違いもできるようになっているところがありました。多少崩れているところもありますが、自治体の力の入れ方がうかがえます。

休憩舎もありました。女性のペアが中でお昼を食べているようでした。もう11時を過ぎてますから、お昼どきですね。邪魔しないよう挨拶して素通りしました。

もうひと登りすると駒の尾山に到着しました。ストーンヘンジのような配列の石がありました。なんか楽しいです。

後山方面がよく見えます。ホントいい稜線だなぁ。小屋に向かう途中の道で鹿に出会いました。鹿は驚いて道をかけ下りましたが、少し先でまたこちらの様子をうかがっています。ひょっとして人馴れしているのかしら。

これは鍋ヶ谷山。山頂標識がとれて、柱の上に引っ掛けてありました。明らかに瀬戸内海に向けて草が払われてるような気がしますが、霞んでてこの日ははっきりしません。

船木山からも瀬戸内海が見える、との看板がありました。ここには後山キャンプ場から登ってくる道が合流しています。

振り返ると駒の尾山が見えました。笹原がとてもきれいです。こちらから見ても、いい稜線だなぁ。

さあ、あとは今回メインの後山です。前日に梅雨明けし、天気予報通りこの日はカンカン照りなのですが、風が適度に吹いているのが幸いなのと、日焼け止めを2回にわたり塗っているので、皮膚へのダメージをまだ感じないので、心配していたほどしんどくありません。

少しの登り返しで後山に到着しました。山頂には祠があり、いけられたばかりの花が供えられていました。岡山県の最高峰であり、兵庫県では3番目の山。別名の板馬見山の標識もありました。

後山から松ノ木バス停 兵庫県側の道はわかりにくい

さて兵庫県側に下りようとしたところ、なんの標識もなくて、地図アプリで確認します。いきなり藪が濃くなり「大丈夫かな」と思いながら踏み跡をたどると、行場コースと一般コースの分岐。初見なので一般コースを選びます。標識は割れて、地面に散らばっている感じ。

次に笛石山への分岐。1253ピークの分岐点です。ここは森の木に白い標識が打ちつけられていて、見つけやすかった。

尾根を降りていると、左手の林の中への標識。兵庫県では完全に板馬見山の呼称なのですね。1160m付近と思います。

下の写真は勢いよく歩いてると見逃すかも。全体に踏み跡ははっきりしてなくて、キョロキョロしながら道の痕跡を探すような、緊張度の高い行程でした。

今回アルトラのローンピーク9+を履いているのですが、駒の尾山の登りのときから実は足が攣りそうな雰囲気がありました。それが急斜面の下降を続けていたためか、とうとう猛烈に左足が攣りました。ふくらはぎがカチンコチンになっています。ゼロドロップの仕業なのか、単なる水分不足かはわかりませんが。
伸ばしたりマッサージしてだましだまし歩いていると、ソーメン滝の下で登山者と出会いました。

その方は上だわから後山を周回して下山途中なのですが、以前と比べて「道がわからなくなっている」と話していました。

やがてなんとか林道に到着しました。その方と兵庫の山の話をいろいろしゃべって、林道も一緒に下りました。

親切な方に相生まで車に乗せてもらいました 感謝です

急いで降りてきたら15時25分。バス時刻15時49分になんとか間に合いました。松ノ木の駐車場にはトイレがあるのと、行者霊水という水の自動販売機がありました。地元の自治会が設置しているもので、100円で40リットルの目安で出水しているそうです。日本油科検定協会の水質検査を受けているとのこと。40リットルもくめませんが、ペットボトルに入れさせてもらいました。

バス停に向かう前に、一緒に下山した方に声を掛けると「相生まで送ろか」とのお言葉。「そんなー」とか一応は遠慮する構えを見せたものの、こんなありがたい話に顔が緩んでしまってます(笑)ありがたくご厚意に甘えてしまいました…
結局、JR相生駅まで送ってもらうと、時刻は16:40くらいで、新快速に乗って一気に家路へと向かうのでした。バスだと山崎で1時間ほど時間をつぶさなくてはいけないので、それに比べるとめちゃくちゃ早く家に帰れることになりました。
感激しました。本当にありがとうございました。

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