月山周辺ではこれまで志津の近くや湯殿山、村山葉山の927峰でスキーをしたことがありますが、月山のピークそのものには登ったことがありません。2週間前の八甲田が本来ならスキー納めとなるところですが、余勢をかって月山にも行くことにしました。2024年5月の山行です。
夜行バスを調べたのですが「スキー板やボードは取り扱いません」との但し書きがあって、そうなると新幹線しかないとなりまして、JRのダイナミック・レールパックで新幹線代と宿泊代込みで20,400円のコースがありましたのでポチっとしてしまいました。
翌日は山交バスセンター7時20分発のバスに乗って西川BSで町営バスに乗り換え、姥沢(うばさわ)に着いたのは9時35分ごろ。急いで準備をしてリフト乗り場に15分ほど雪道を歩きます。
リフト1回券800円を買って外へ出てみますとガーン。すごい行列です。
駐車場では世田谷ナンバーの車も見かけたたので、日本全国からここ月山に集結していると言っても良いかもしれません。まあ私もそのうちの一人ですけどね。
列は100メートルくらいあったと思うのですが、これが割と流れが良くて15分ほど待つと無事リフトに乗ることができました。ペアリフト1本だけでこれだけの集客力ですから非常に効率的と言えるでしょう。
リフトに乗りますと、左手に姥ヶ岳とスキー場の「大斜面」が見えてきます。もう多くのスキーヤーが名物のコブに挑戦しています。初見参の私にとっては「うわー」と感動の声をあげたいところですが、おっさんがわーきゃー言うとさすがにお隣の相席の方も怖がられると思いますので、心の中だけにとどめておきました。
さてリフト終点ですぐにスキーで歩き出します。スキー場管理外の竹竿を超えて白い尾根を超えますと、あらわれました、月山です。
来たー!月山だ。優しいな。月の山だもんな。
↓ここから引用
月山の名の起こりは、半輪の月の形からではなく、その山を仰ぐ人々が彼等の最も尊崇している農業の神、月読尊(つきよみのみこと)を祀ったからである。しかし、その心の底には、やはり月のように優しい山という感じがあったに違いない。(日本百名山)
↑ここまで引用
文献を重視する深田久弥氏にしては、「感じがあったに違いない」とえらくぼんやりとした結論付けているのがおかしく思えます。まあ、それほどこの山容は人の心を魅了することなのでしょう。
姥ヶ岳を経由して行くこともあるようですが、スキー板を履いているのならば、ここは月山を絶えず正面に見ながら大きな雪上をペタペタと行きましょう。
振り返ると白い山々が峰を連ねています。朝日連峰です。
手前は以東岳、左手の顕著なピークが大朝日岳だろうか?月山と朝日連峰がこんなに近いなんてつい最近まで知りませんでした。
いつか朝日連峰にはいかなくては。その時は縦走がふさわしいと今から決めています。
さて尾根からちょっとした雪壁に突き当たります。さっさとスキー板をリュックに付けてシートラです。以前は「いけるところまでシール登高で」と頑張っていたのですが、ここのところあまりスタイルにこだわらないようになりました。結局その時そのときで一番体力の消耗しない登り方で登ればいいのです。
そのうち雪が消え土の道となりました。石の壁が見えましたので、人工物があるなと思っていたら(「頂上かも」と期待したことは否定しません笑)、そこは鍛治小屋跡で比較的新しそうなお地蔵様がいらっしゃいました。可愛らしいお顔でした。
スキーを担いでえっちらおっちら登っていますとついに頂上稜線です。左手に向きを変えると建物がたくさん建っているところが見えます。あれが頂上です。平坦な道を歩いて鳥居をくぐって行きますと、真剣に石囲いした宗教施設のようでしたので右手の雪面に移動し、鳥海山目当てにさらにその先まで足を伸ばします。
知らなかったのですが、その鳥海山が良く見えるあたりが三角点があるところだったようです。
鳥海山はぽっかり雲の上に浮かんでいるかのようです。猛禽類の翼を思わせるかのような裾野の広がり方が猛々しくてたまりません。
さて頂上はともかく先ほどから私の心をつかんでいるのは、眼下に広がる「月山東斜面」です。なんとも雄大でなだらかなオープンバーンが広がっています。
時間は12時15分ごろで、予定より早く着きました。ここは滑っておくべしでしょう。もう、たまらなくなってスキーモードにチェンジ!です。そして滑ってみると、1回、2回、3回、右に左にもう一回右に。
こんなにテレマークターンが決まったのは生まれて初めてです。
前兆はありました。八甲田で課題だった左へのターンが意識して重心を低くすることで自然と足が開くようになっていたのです。「わかったかもしれん」のか、いつもの勘違いなのか?
それが「前よりはわかった」との確信に変わりました!(←弱い確信)
ご機嫌で頂上稜線に登り返します。こういう時もウロコ板だといちいちシールを履かなくて済むので楽チンです。土道となり、しばらく板を担いで雪のあるところまで戻って来ました。ここでは他の人の視線を感じて緊張してしまい1回こけましたが、その後はぐーんと距離を伸ばします。ターンも何回も決めて…ヒャッホー!最高だ。
あまり滑りすぎると登り返すのがしんどいので、できるだけ高度を下げないようトラバース気味で滑ります。最後はウロコ板パワーでブッシュが見える小尾根を越えるとスキー場のリフト上駅を見下ろすことができました。スキー場はもうすごい人です。
姥ヶ岳へ登る時間もあるのですが「このまま美しい思い出だけを持って帰りたい」と余計なことをせずに帰ることにします。大体欲張ると失敗するものです。
沢コースを素直に滑りましたが、さすがにだいぶ荒れています。コーチの指導を受けている子供達がめちゃ上手です。
全国大会のシャツを着ている若い男女のチームもいます。多分すごいやつらなんだと思います。自分の居場所ではなかろうと、私は降りることに集中です。
14時過ぎに姥沢に着いたのに、バスが1415だと知らずに数分の差で乗り過ごし(とほほ)1時間45分たっぷり待ちました。この間ブユの攻撃を受けて何箇所か噛まれてしまった。
16時出発の町営バスの後は西川ICで山形駅行きの高速バス待ちです。乗り継ぎの便は仙台行きの方が便利ですが、ツアーなので山形発の新幹線に乗らないわけには行きません。これから検討される方は仙台起点で考えると良いかもしれません。
およそ1時間待ってやっと高速バスに乗ることができました。1時間くらいの時間待ちはだいぶ慣れてしまいましたけどね。
タイトルにも書きましたが、恥ずかしながら「今日ほどテレマークターンができた日はない」です。ですから月山のこの滑りは私にとって「テレマークターン記念日」と言っても良いかと思います。まあいつも「わかったかもしれない」と思い続けているのですけどね(笑)
■月山 2024/5/11
月山リフト上駅(10:30/12:15)月山山頂(12:40/13:30)リフト上駅(13:45/14:05)姥沢
- 出版社/メーカー: 山と渓谷社
- 発売日: 2018/12/05
- メディア: 単行本
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