岩手県南部の焼石岳は花の百名山として名高く、一度は行ってみたい山でした。特に6月はハクサンイチゲが一斉に咲くということで、SNSでのレポも頻繁にあがります。チャンスを待ち構えていたところ週末の天気が良いようです。
焼石岳登山で悩むところは登山口までの公共交通機関がなく、タクシー利用かレンタカーか判断を迫られることです。レンタカーなら8時の営業開始まで待たねばならず、9時到着としても駐車場がいっぱいで右往左往しそうです。ここは奮発してタクシーを利用し、その分夜行バスを利用して交通費全体の帳尻を合わせようと考えました2024年6月の山行です。
夜行バスで水沢駅に着いたのは午前6時前。私以外、バスから登山者らしき人は誰も降りてきません。ガーン!完璧にあてが外れました。実はタクシーに同乗する人がいるのではと期待していたのです…。がっかりしましたが所詮は皮算用の類いの話です。予約していたタクシーに乗り込んでしまえば、気持ちも切り替わりました。(9,410円でした)
さて入山は中沼登山口です。想像していた通り駐車場は満杯で引き返して林道に駐車する車が多くありました。運転手さんによると、この林道は雨の後だと砂利が流れて、車の腹を擦るのだそうです。しかしこの運転手さんはどうしてこんな話をするのだろう?よほどこの道来たくなかったのか…。
登山口で準備を済ませ出発です。明るい樹林の中はヒグラシとカエルの鳴き声で包まれています。先日の荒船山でも同じような鳴き声の合唱でしたが、より鳴き声の圧があるように感じます。
やがて中沼に着きました。沼越しに残雪がある横岳が見えます。
そして中沼あたりから花の百名山の本領発揮です。
一足早く出発したであろう人たちにもこの辺りで追いつきました。なんせみんな写真を撮るのに忙しく、なかなか前に進めないのです。これだけ花が咲いていると誰しも気分があがろうというものです
「サンカヨウ少ないなあ。シラネアオイ率高いなあ」とか「リュウキンカも大好きなんです」とか。問わず語りに声を出しているのは、だいたい女性ですね。自然と会話が生まれ、花の名前や珍しい花を教わりました。私も以前に比べるとわかるようになったものですが、彼女ら(彼ら)の花に対する熱量には圧倒されます。「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったものです。
シラネアオイがこんなに咲いているのを始めて見ました。全行程において。それも花弁がくたっとしていなくて、キリッとしているのです。
「これサンカヨウよ」「花びらが透き通るやつですよね」「これは透き通ってないけどね〜」
残雪が現れました。ここがツブ沼コースとの分岐点です。補助ロープがありました。下降時にワンポイント使いました。
さらに上がって賑やかな声が聞こえると銀明水。名水との評判が高い水です。帰りにペットボトルに汲みましたが、家で飲んでも、まろやかでとてもおいしかったです。確かに他の水とは違うと思いました。これでお酒作ったら美味しいのができるのかも。
銀明水の避難小屋に寄ってみると2階建てで居心地がよさそうでした。張り紙には熊がこの階段付近に出没したと書かれていましたけども…
残雪をいくつか通過します。アイゼンを付けている人はいませんでしたが、穴が開いているところがあったり、大きな雪渓では下りの時トレッキングポールが欲しくなりました。
ほかの方の装備をみていて羨ましかったのが長靴です。道がぬかるんでいるところが多く、私の登山靴のつま先がラバーが欠けていて「水が染みるかも」と不安だったからかもしれませんが、それほど標高がない残雪期の山だったら試してみてもいいなあと思いました。
「わー可愛い」女性が大きな声を出したのがイワカガミでした。「すごく濃い色、これ特別ね〜」
ぱっと景色が広がったら姥石平です。ついにハクサンイチゲ登場です。
それだけで大喜びして写真を何枚も撮っていたのですが、こんなもんではないと後で思い知ります。もう少し後の東焼石岳のことです。
稜線の上に上がりますと反対側の小岩沢の源頭部を見下ろすことができました。池塘や草原があって天国のような場所です。(実際は違うと思いますが…)
焼石岳に登って朝食で食べたあんパンの残りを食べて、東焼石岳を目指します。
いったん焼石神社の分岐まで行き(特に神社らしいものはない)、東焼石岳へ行くのですが、その途中からお花畑が延々と続くのです。ハクサンイチゲをはじめとして、チングルマ、ヨツバシオガマなどが咲き乱れています。どれも足元にかわいらしく咲いているので非常に「健気」であります。
「これ、こないだ教えてもらったのに名前思い出せない。え〜と、確かヒナザクラだわ」
ご夫婦らしき男女より教えてもらう。
ここでも花の先達に教わったのが、ムシトリスミレとヨツバシオガマの白花です。ムシトリスミレは名前の通り食虫植物で、白花は紫色が普通のヨツバシオガマの色違いです。「去年もこの辺で見かけたのよね〜」と言っていました。(この人たちは毎年登っているんだ〜)、よく知っているはずですよね。
姥石平に戻って焼石岳を見納めします。
下山は中沼コースより距離は長くなるものの道路事情がよい(タクシー代も安い)ツブ沼コースを選びます。銀明水避難小屋で電話して(docomo)15時半に登山口で待ち合わせしました。
ツブ沼コースはずっと樹林帯でやはり長かった。熊の糞もあったので、熊鈴はあったほうがよいでしょうね。
石沼を眺めて予定より早い14時40分ごろにツブ沼登山口に到着しました。
タクシーも15時ごろに来てくれたので、水沢石田温泉で下ろしてもらって汗を流し、広間でちょっと仮眠して1時間半ほど過ごしました。
その後水沢駅まで40分ほど歩き、運転手さんに教えてもらった駅前の「千成」でもつ煮をあてにビールを飲んで、かつ丼(750円)でおなかを満たしました。
夜行バスの出発は23時半なのでまだまだ時間があるので、街をブラブラします。水沢と言えば政治家、小沢一郎さんの地元でたくさんポスターが張られています。「選挙の時しか帰ってこない」らしいのですが、それでもやっぱり小沢一郎なんですね。人気が伺えます。
そしてスナックなどの飲み屋が結構あったのが、ちょっと驚きです。昭和マニアなら大喜びしそうなロケーションです。
その後も順調に暇をつぶし、夜行バスに乗り込むとさすがに寝付きが良く、ほぼ寝ることができて、翌朝7時に東京駅に到着しました。家に帰って仮眠をとったらとりあえずは元気回復しましたが、ちょっとダメージは続くかもですね。
とにかく写真をたくさん撮りました。楽しい思い出ができました。
もっと花の名前を覚えたいですね
■岩手・焼石岳 2024/6/8
中沼登山口(7:00/10:00)焼石岳(10:10/11:15)東焼石岳(11:25/12:30)銀明水避難小屋(12:40/14:40)ツブ沼登山口
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