平ヶ岳 遊覧船でアプローチする日帰り最難関の百名山

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 平ヶ岳は日本百名山の中でも「日帰り最難関」と言われている。尾根上に宿泊施設がなく原則テント泊禁止であることから、標準コースタイム12時間、標高差1300mを上り下りすることになる。

 さらにアプローチも難度が高い。マイカーならまだしも公共交通機関で移動するとなれば前夜泊が必要となる。2023年9月の山行です。

1.遊覧船でアプローチしてキャンプ場で前泊

奥只見湖遊覧船乗り場
奥只見湖遊覧船乗り場

 今回のアプローチは新幹線で浦佐まで行き、シルバーラインを走る南越後観光バスの路線バスで奥只見湖まで行き、そこから遊覧船に乗って尾瀬口まで行って、接続している路線バスの会津バスに乗るものです。長〜い!(奥只見遊覧船のHPに乗り継ぎ案内があります)

尾瀬口へ遊覧船
尾瀬口へ遊覧船が行く

 それにしてもアプローチに遊覧船を乗る経験はあんまりないですね。あっ、黒部湖の「平の渡し」がありました。ということは、ダム特有の措置なんでしょうかね。

奥只見湖を囲んでいる峰の側面がキラキラ光っています。雪崩で磨かれたスラブです。ボートでアプローチするマニアックな登攀記録を見たことを思い出しました。こんなところを登りに来てるんだ。すご〜い。

奥只見湖を囲む峰にスラブが
奥只見湖を囲む峰にスラブが光っている たまに登攀記録がありますよね

 接続している会津バスに乗って、鷹ノ巣まで。は〜、遠かった〜。会津駒ケ岳に行った時も思いましたが、会津は遠いですね。

 けど、道中いろんな人と出会いました。中でもご主人を亡くしそれから旅を再開している女性の身の上話を聞いたりしました。遊覧船の係りの人が私のことをご主人と思い込んだらしく、その話をする時、女性もまんざらではなさそうだったのが照れる(笑)

鷹ノ巣キャンプ場と清四郎小屋
鷹ノ巣キャンプ場と清四郎小屋

 鷹ノ巣キャンプ場はこの日は私を含めて3グループでした。お肉を焼く匂いがしてきます。わたしはレトルトカレーですぐに終わっちゃいました。前泊なんだから、もう少し豪勢にしたらよかった。後悔しても後の祭り、早々に眠りにつきました。

2.夜明け前からラテ行動、急登の連続で池ノ岳へ

平ヶ岳登山口
平ヶ岳登山口

 翌朝はキャンプ場にテントなどをデポして、月明かりの中、午前3時40分に出発しました。4時に登山口通過し、20分ほどたつと山道に入りました。なかなかの急登ですが、気温が高くないので助かります。暗い中やせ尾根(だと思う)を通過しますが、トラロープに助けられながら高度を上げていきます。

夜明け前の会津側の稜線
夜明け前の会津側の稜線
燧ケ岳の存在感が大きい
燧ケ岳が存在感出してるな〜

 燧ケ岳が存在感出してます。やがて夜明けがやってきました。

暗闇の中ヘッドラップで照らされる露岩の道
暗闇の中ヘッドラップで照らされる露岩の道

 明るくなると下台倉山への登りの急さがわかります。一直線やん(笑)

下台倉山への登りは急だな
下台倉山への登りは急だな…焦らずに行こう
朝日を浴びる下台倉山から台倉山の稜線
下台倉山への登りの途中で朝日が登った

下台倉山に上がってしまうと、台倉山までは平坦な道が続きます。そして平ヶ岳が初めて姿をあらわしました。

台倉山への稜線
台倉山への稜線はわりと平坦
平ヶ岳が見えた
平ヶ岳が見えた
平ヶ岳の黄色い花
平ヶ岳の黄色い花
池ノ岳への登り
池ノ岳への登り
池ノ岳への登り
池ノ岳への登り 続きます

3.池ノ岳の池塘と平ヶ岳、たまご石

 池ノ岳への登りは溝状になっているところが多く、段差がないようスタンスを求めていきます。そしてやっと池ノ岳に着くと待ち構えていたのが、青空が映る池塘でした。これまでの苦労が報われる瞬間です!

平ヶ岳と池塘
平ヶ岳と池ノ岳池塘 よく見るアングルです
平ヶ岳の池塘
池ノ岳の池塘 青空が写っていい
平ヶ岳の池塘
池ノ岳の池塘 板の間が所々にあって休憩できる

 ここから急に登山者が増えました。中ノ岐ルート、いわゆるプリンスルートという現在の天皇陛下が登山するときに利用した民宿宿泊者専用のルートがあって、それなら往復6時間半ほどで頂上を往復できるのです。

平ヶ岳の頂上は賑わっている
平ヶ岳の頂上は賑わっている

 この後の行程を考えるとあまりゆっくりできないので平ヶ岳へ。もう頂上付近は草紅葉となっています。午前9時。頂上はやぶの中のぽっかり空いた藪が払われたところがあって標柱がたっています。男女のグループと頂上で写真を撮りあって次にたまご石へ。私としてはここまでの長い道のりについて誰かとおしゃべりして共有したいのですが、プリンスルートの方が大半のようで、みなさんまだだいぶ余裕がありそうです。

 だいぶ雲が湧いてきて、周囲の山が見えなくなってきました。急がなくっちゃ。

平ヶ岳のたまご石
平ヶ岳のたまご石 これは定番中の定番
平ヶ岳のたまご石
平ヶ岳のたまご石 実物はこんな感じです

 たまご石の時に青空が池塘に写ったらいいなあと思っていたのですが、なんとか間に合いました。今日は思っていたことが全部できて嬉しい。

池ノ岳へ戻ります
池ノ岳へ戻ります 草紅葉がもう秋を感じさせる
池ノ岳の白い花
池ノ岳の白い花
池ノ岳の白い花
池ノ岳の白い花 名前がわからない

4.下山も帰路も長いけれど、いい山旅でした

 さっきまで青空バックにたおやかな姿をみせていた平ヶ岳は、雲が湧き出してきて今にも隠れようとしています。池ノ岳で行動食(無印良品のチャイなんとか)を食べて、午前10時20分下山に取り掛かります。標準タイムよりだいぶ時間短縮してきているので、もう帰りのバスに間に合うでしょう。

 しかしそこからが長い!そこからとにかく下りるが太陽も上がって消耗します。何人かに抜かされるが、みんな元気だなあと思う。

平ヶ岳の長い下山
平ヶ岳の長い下山
平ヶ岳の長い下山 尾根が龍の背中のようだ
平ヶ岳の長い下山 尾根が龍の背中のようだ

14時10分頃に登山口に到着し、14時25分ごろに鷹ノ巣キャンプ場に戻りました。デポしていたザックを回収して、コカ・コーラを飲んで、小屋のご主人に話を聞きました。川の向こうじゃ会津になるんだが、そこには残雪期によく兎狩りに行ったし、時には熊がいる時があるんだが、川を越えて魚津側には来ないんだとか。みんな小屋の前にゴザを敷いて対岸の様子を眺めていたんだとか。

16時前の会津バスに乗って尾瀬口へ。このバスで往路で身の上話を聞いた女性とまた出会い(運命かと一瞬思った笑)、16時10分の遊覧船で奥只見(したの写真)へ。

奥只見湖遊覧船 尾瀬口の船着場
奥只見湖遊覧船 尾瀬口の船着場

 南越後観光バスで浦佐に着いたのは18時半でした。やっぱり長〜い!

奥只見ターミナルでバスに乗り換える
奥只見ターミナルでバスに乗り換える

 平ヶ岳は池ノ岳の池塘がなければ「やってられない」山かもしれない。深田久弥も苦労ゆえにこの山を評価しているように思う。確かにアプローチは電車、バス、船、またバスと乗り継いだ「旅」でした。独り身となってから旅を続けているという女性など、出会った人たちも思い出深いです。

 さらに恋ノ岐川の沢登りか、残雪期に尾瀬から山スキーで縦走すれば、平ヶ岳登山はもっと充実するでしょうね。

■平ヶ岳 2023/9/3
平ヶ岳登山口(4:00/9:00)平ヶ岳(9:05/9:40)たまご石(9:45/14:11)平ヶ岳登山口


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