
仙台に住んでいる友人に「この夏どうすんの?」と聞くと、当然「東北の沢に行きたい」と言う。大阪から仙台まで新幹線なら4時間半で片道23,450円する。「これは無理だなあ」と思っていたら、関西空港からLCCのPeachのチケットが最安1万円前後で出ているのを見つけました。「これなら東京から仙台に新幹線で行くのと変わらん」と思い、2泊3日で東北・二口山塊の沢へ行くことで話がまとまりました。
二口山塊は仙台市西部にあって、蔵王連峰から北に連なる山形県と宮城県の県境尾根のまとまりみたいなもので、大東岳(1,365m)や神室岳(1,356m)があって…と言ってもなかなかピンとくる人はいないんではないでしょうか?しかしこの山塊は大行(おおなめ)沢という「デート沢」として超有名な沢があるのです。我々もこの大行沢に照準を合わせ、ナメと釣りと焚火を楽しむことにしました。2024年9月の山行です。
▪️二口山塊・大行沢カケス沢右又 (2024/9/8-9)
1.駐車場(6:25/14:15)カケス沢出合テン場
2.カケス沢出合(7:00/9:25)北石橋(10:00/10:45)カケス沢出合(10:55/12:15)樋ノ沢避難小屋(12:40/13:10)カケス沢出合(13:30/15:30)駐車場
1.Peachで大阪から仙台へ行く


LCCは実際には預け荷物1つ(テン泊装備入りザック)は必要だし、天気によって日付を変更するのでベーシックのプランを選択し、最終的に片道約15,000円のフライト代となりました。関空に行くにも2,000円くらいかかります。そう考えると片道17,000円。時間はなんだかんだで4時間。
関空に着いてシャトルバスに乗り換え、スマホでチェックインし、預け荷物を検査して預け、手荷物を検査して保安場を通過します。駅を降りてからここまで45分くらいはかかりました。まあ飛行機に乗ってしまうと1時間15分で仙台入りできたので体は相当楽です。


仙台空港に迎えに来てくれた友人と落ち合い、セブンイレブンで買い出しをしビジターセンターで登山届けを出して登山口へ。キャンプ場から若者たちの賑やかな声が聞こえてきます。しかし空港から車で1時間ほどで着くのですから仙台の登山事情は相当良いと言わざるを得ません。友人が羨ましい。
ビールを飲みながら近況を話し合います。お互い子供が新しいステージを迎え、その次は自分のステージが近づいているという感じです。「あすもあるので簡単に」と思っていたのについ飲みすぎてしまいました。
(下の地図にはスマホ忘れのため、2日目のカケス沢から樋ノ沢避難小屋往復は含まれていません)
2.大行沢の下部ゴルジュと巨岩ゴーロ帯は楽しませて(?)くれます
朝起きてまだ頭がボーとしていますが、沢登りの用意をして出発です。小道の途中に「ヤマヒル注意」の立て看板がありますが、きのうの夜も被害がなかったし、気にせず入谷です。
橋をくぐって進むと、さっそく赤い岩のナメが出迎えてくれます。


歩いて間もなくで、緑の苔むしたゴルジュに出合います。



ゴルジュは側壁にところどころ足場を切っているようにも見えますが、へつりで突破をするのもなかなかバランスが必要で我々の力量では限度が出てきました。となると水の中へ…最初は水の中のスタンスをひろって進みますが、そのうち水の中に入って行って泳ぎ、ザックの引き揚げ等オンパレードになりました。
流れのゆるいところが多く、泳ぎの下手な私でもあまり恐怖感はわかない。




やがて前方から大きな滝の音が聞こえてきました。駒止滝(こまどめのたき)です。いったん左岸の登山道に上がってしばらく進み、途中からまた沢に入ります。


すると大きな岩がデーン、デーンと沢の中に配置され、単純な河原歩きとは違う様相となりました。これが結構疲れます。




いい加減「もうええやろ」と思っていたら、幅広の二段の滝が現れた。下段は左側の斜め右に上がる溝に沿って登るとピンが2つあって、ルートどりが間違っていなかったことに安心する。滝登りは今シーズン初っ端なので少し怖かった、上段は右側にロープを伸ばします。ここにもピンが2つありました。

この滝を超えるとさすがに沢もおとなしくなって、巨岩こそなくなりましたが、もう少し辛抱の時間が流れます。時間にして15時ごろになってでてきたのが「天国級のナメ」と紹介されたナメです。



当初は樋の沢避難小屋まで行くつもりでしたが、雨ももちそうなのでカケス沢出合のテン場でツエルトをタープ状に広げてこの日の宿とします。

友人がテンカラ釣りをしますが、あたりなし。本日の夕飯はレトルトカレーとパックご飯とつまみ、ビール、焼酎、ウイスキーです。
焚き火は着火剤であっという間に火起こしができました。浦和浪漫山岳会の高桑信一さんが「着火剤を使う」と本で書いていて、「高桑さんが使うなら俺らも使って良いだろう」と理由をつけて楽したかっただけの話です。
焚き火に身体を近づけると濡れた衣類から蒸気がたちます。飯盒を無造作に焚き火の中にくべてお湯を沸かしていると、いつの間にか夕闇が谷に降りてきて、チロチロと燃える炎だけをじっと見つめておりました。贅沢な時間。

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