東北の二口山塊・大行沢「デート沢」だけじゃない硬派な一面も(後編)

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大行沢 カケス沢右俣 北石橋
北石橋(「きたしゃっきょう」と読みます)

(この日のカケス沢出合〜樋ノ沢避難小屋往復のGPSログはスマホ忘れのためありません)

3.カケス沢右俣は侮れません

 朝ごはんのカップ麺とコーヒーをお腹に入れて沢装備を身につけます。まずはカケス沢右股をつめて北石橋(きたしゃっきょう)を見に行く計画です。午前7時にテン場から直接カケス沢右股に入ります。アスファルトの舗装路のような感覚で歩けます。

カケス沢右俣 大行沢
カケス沢右俣は黒くて真っ平ら 舗装道路のようだ

 水際に緑の草がたくさん生えています。「ミズという山菜で、アクが出なくて茹でるだけでいい」と、昨夜教えてもらいました。昨夜は、葉っぱを取って茎を茹でマヨしょうゆで和えたのですが、確かにあっさりしてうまかったです。

山菜のミズ
山菜のミズ アクが出なくて美味しい

 しばらくは出てくる小滝を苦もなく進んでいくと、突然大きな口をあけた2段の滝が現れました。左手の草付きに取りつき巻きに入ります。岩が出てきたり、滑りそうな草付きをハンマーのピックを刺して進みます。

大行沢カケス沢右俣 二段の滝
カケス沢右俣の二段の滝
二段の滝を右岸から巻く カケス沢右俣
二段の滝を右岸から巻く

 最後は2回の懸垂下降(ロープは8ミリ30m)で沢床に降りることができました。2回目では捨て縄を発見。みんな苦労しているんだな。

捨て縄発見 みんな同じ苦労しているんだなあ
2回目の懸垂下降で捨て縄発見 みんな同じ苦労しているんだなあ
カケス沢右俣 小滝
懸垂下降後、快適に小瀧を越えていく

 お次は釜の中に落ちる小ぶりな滝。小さいが側壁がかぶり気味。最初はショルダーを選択したが、肩に上がるにも深くて足が上がらない。友人が右側の側壁を微妙なムーブで上に抜けた。僕はお助け紐で引き揚げてもらう。ここにもランナーが残置されていた。
 巻きの踏み跡などは薄いのだが、捨て縄と言いランナーと言い、皆さんそれなりに苦労していることがうかがえる。

スタンスの微妙なところもあった 大行沢カケス沢右俣
スタンスの微妙なところもあった

 次に立ちはだかったのはチョックストーンの滝。帰ってから他の記録を読むと両足ツッパリで突破しているパーティーがありましたが、この時僕らは全く考えませんでした。
 突破は難しいと判断し、右側のブッシュの中をいったん直上し、徐々に川上に向かって緩やかに高度を下げて、最後はずるずるの草付きを滑って降りました。

チョックストーン 大行沢カケス沢右俣
チョックストーン(人物で隠れている岩)

 お次の1条の滝はやはり側壁はかぶっていて険しそうです。左手の草付きからいったん落ち口に向かって斜上し木の根っこをつかんで直上。

一条の滝 大行沢カケス沢
一条の滝 これは右岸を巻く

 ちょっと上りすぎたかなと思ったところで、緩やかに沢へ降りていける草付きがあり、最後は念のため懸垂下降します。
 そうこうするうちにようやく現れたのが、これ、北石橋(きたしゃっきょう)です。

大行沢 カケス沢右俣 北石橋
北石橋 なんと自然の造形の不思議なこと

 「ウオッ」と声を出してしまいましたよ。なんという自然の造形でしょう。ちょっとこんなのは見たことがない…しばし写真タイムです。

 穴の真ん中をさらさらと流れる水際は一見優しそうですが、取りつくと結構立っていてスライダーしてしまいます。水流左手のごつごつした壁にロープを出して突破しました。登ったところに登山道が通じていました。

北石橋は結局水流左手んいロープを出した
北石橋は結局水流左手にロープを出した
北石橋を上流から見た
北石橋を上流から見た

 北石橋を裏から見ながら休憩。
「(途中で見た巨岩を思い浮かべながら)ゴボッと巨岩が落ちてこんな穴が開いたのかなあ」
などと、なんの根拠もなしに話し合いました。

休憩 ようやく花を見る気分になった
休憩でようやく花を見る気分になった

 休憩の後、登山道をカケス沢出合まで下りますが、この間のブナ林がとてもきれいでした。ここを雪が積もってブッシュが隠れたらいいスキーのルートになるだろうなと話しながらあっという間にカケス沢出合に到着。

ブナ林がとてもきれいでした
ブナ林がとてもきれいでした

4.天国のナメをゆる〜く遡る

 カケス沢で思いのほか、お腹いっぱいになったので、あとは釣りをしながら樋ノ沢避難小屋まで上がることにしました。

樋ノ沢避難小屋へ 天国のナメ
天国級のナメ
樋ノ沢避難小屋へ 天国のナメ
樋ノ沢避難小屋へ 天国のナメが続く
天国のナメがまだまだ続く
天国のナメがまだまだ続く
天国のナメで釣りをしながら
天国のナメで釣りをしながら

 僕は竿を持ってきたもののエサとなる川虫をとるのが難しく写真撮影をしながら進みます。相変わらず友人のテンカラにはあたりがなく「もうおしまいか」と思ったときに「!」ヒットしました。

 もう友人の笑いがとまりません。うらやまし〜。テンカラいいな。イワナはリリースしました。

ハダカゾウキ沢との出合は両沢滝で出合っている。これは樋ノ沢の滝。右側を登る
ハダカゾウキ沢との出合は両沢滝で出合っている。これは樋ノ沢の滝。右側を登る
奥に樋ノ沢避難小屋が見える
奥に樋ノ沢避難小屋が見える

 あとは幕営地に戻り荷物を回収して2時間ほどの下山路です。しかし駐車場に着いてびっくりしました。ヒルが3匹ほど沢用のスパッツについているのです。幸い噛まれてはいませんでしたが、最後の登山道でしょうか。最近は積雪が少なく鹿やイノシシの生息範囲が広がっているそうで、それが原因だと考えられているとのこと。

ヤマヒルに注意 駐車場の看板
ヤマヒルに注意 駐車場すぐの看板

 最後は秋保温泉の共同浴場(300円)に入って軽く汗を流しました。石鹸やシャンプーは別売です。あとは空港まで送ってもらって終了です。友人よ、ありがとう〜

秋保温泉共同浴場
秋保温泉共同浴場は昔ながらの…という感じ 近くのスーパー銭湯は16時入店がラスト

 慌ただしいといえばそうですが、なんか貴重な体験をした感じです。沢登りはやっぱり危険な部分もあるので単独では限度があります。今回一緒に行った友人は沢登りの経験が豊富ですし、頼り甲斐がありました。
 それに東北のきれいな森の中を流れる沢はとても印象深いです。ナメの多い沢だとはわかっていましたが、下部のゴルジュやカケス沢の巻きや懸垂下降など総合力を試されているようで、なかなか楽しかったです。

 そうこういううちにもうあと少しすれば雪のシーズンですね。雪があるときにまた東北もきて見たいな。

1.駐車場(6:25/14:15)カケス沢出合テン場
2.カケス沢出合(7:00/9:25)北石橋(10:00/10:45)カケス沢出合(10:55/12:15)樋ノ沢避難小屋(12:40/13:10)カケス沢出合(13:30/15:30)駐車場


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