
私にとって石川直樹さんといえば、2004年、熱気球冒険家の神田道夫さんと気球に乗って太平洋横断を試みたことです。石川さんの著書「最後の冒険家」には、神田さんと青山の喫茶店で初めて出会った時のことから、2004年の太平洋横断の挑戦と失敗、そして太平洋上で救出されるまで。そして2008年神田さん単独での再挑戦と行方が分からなくなったこと。同じ年の夏、2004年のゴンドラが流れ流れてトカラ列島の悪石島に漂着したことまでが描かれています。
本当の冒険家だと思いました。神田さんはもちろんのこと、石川さんも、にわか仕込みで気球に乗っていきなり太平洋横断に挑戦するのですから。悪石島でゴンドラを見つけた場面は偶然とは思えない、何者かがそうしたとしか考えられない巡り合わせに参ってしまった。兵庫県豊岡市の植村直己冒険館で特別展示された回収されたゴンドラを見に行ったこともありました。
そんな石川さんが8,000m峰を登っているのを登山雑誌のクロニクル欄でみかけたような気がします。2001年5月のチョモランマ登山でした。この登山で石川さんは世界七大陸最高峰登頂の最年少記録を塗り替えました。
実はこの時に「あれ?この人はこういうタイトルを狙う人なのだろうか?」と思ったものです。
今回NHKスペシャル「8000mで見た生と死 ~写真家 石川直樹の記録~」を見て、石川さんの挑戦は登山者としてではなく、写真家としての挑戦なんだと理解しました。公募隊やシェルパをパートナーにして登り、自分がルートを開くという感じではないのです。そして高度8000mの高所で素手になってフィルムカメラを操作するって、登山者としてはありえないでしょう?
写真を多くの人に見てもらうための14座挑戦なんだと。
番組では、頂上変更により登り直したマナスルや、14座目となるシシャパンマの登山、信頼を寄せていたシェルパの死と遺族への弔問の様子を織り交ぜていました。
印象に残った言葉です。
生きることに対し意識的になる。そうすると感覚が開いてくる。普段は眠っている人間の野生が徐々に開いていく。そういう感覚は街では得られない。
次の目標はなんなんだろう。どんな景色を見せてくれるだろうか?一度写真展に行ってみたいです。「最後の冒険家」ももう一度読んでみようと思います。
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