
霧ヶ峰の車山は日本百名山。リフトが山頂まで延びていて、リフト終点から5分ほどで山頂に着いてしまう、たぶん一番歩かなくて良い百名山です。
霧ヶ峰は花の百名山でもあって、7月初旬から中旬にはニッコウキスゲが車山湿原に咲き乱れます。一般的にはこの頃が登山最適期と言えそうですが、なだらかな起伏は積雪期にはバックカントリーに最適な斜面を提供し、古くから岳人に親しまれていました。
今回は昔の雑誌で「古きよき時代のルート」として紹介されていたクラシックなルートです。大展望も楽しめ霧ヶ峰の広がりが実感できるルートです。
紹介にあたって注意点がひとつ。車山湿原と八島ヶ原湿原は登山道以外立入禁止で滑走できません。私は知らずに入り、拡声器で注意されました。すみません。その時もらったチラシをつけておきます↓

■霧ヶ峰から八島ヶ原湿原BC 2025/3/1
車山肩(10:00/10:35)車山(10:45/11:30)蝶々深山(11:30/11:55)物見岩(11:55/12:25)山小舎の碑(12:45/13:20)沢渡(13:20/14:00)コロボックルヒュッテ
1.車山肩の駐車場から日本百名山の車山へ

車山肩に到着したのは午前9時半頃。大阪から車で5時間かかりました。駐車場にはまだ数台分停められそうでした。ほとんどの方は通常冬山装備で、スキーは私のみ。少し恥ずかしい気もしたので、一人直上ルートに進みます。

ここ一週間晴天が続いたらしく、雪がだいぶ溶けてしまったようです。茅(かや)が顔を出していますし、ストックがズボッとハマります。何度かジグザグをきって一般ルートに合流し、スキーでの登山が珍しいのか多くの登山者に声をかけられながら(照)山頂(1,925m)に着きました。

この日は快晴で360°遮るものがありません。中央アルプス、御岳、乗鞍、槍穂高から続く鹿島槍などの後立山。手前に美ヶ原。

〇〇テラスが流行ってますね。ここにも車山展望テラス(スカイテラス)がありました。蓼科から八ヶ岳、富士山、南アルプスが一望でき、先端に立てば空中に飛び出したかのような気分が味わえます。北東には四阿山から浅間山に連なる上信越、奥志賀の山々も。

2.車山から八島ヶ原湿原へウロコ板でスキーツアー

さて滑走タイムです。まずは蝶々深山(ちょうちょうみやま)へ。やはりだいぶブッシュが出ています。最初はゲレンデのコースを滑り、途中から車山湿原の方に入っていきましたが、急にボコッとハマったりして何度か転倒しました。

そのうち拡声器の声で「何か聞こえるなあ」と思っていると、私が問題を起こしていたのでした。パトロールの方がやって来て「ここ一帯が天然記念物なので登山道以外、立入禁止なんです」と説明を受け、チラシを受け取りました。「すみません」と謝って、おとなしく登山道をペタペタと登りました。

すぐに蝶々深山に到着しました。先ほどもらったチラシを確認します。ここから八島ヶ原湿原までは自由に滑走可能です。

物見岩は(上の写真で中央の)道標右へ進みますが、ちょっと左手の1792まで登って滑ってみました。

わずか数ターンでしたが、ここが一番良かったかもしれません。
雪原の向こうに顔をのぞかせているのは蓼科ですね。なぜか「惑星」という文字が頭の中に浮かんできました。平原の上に山がそびえるシチュエーションに脳が混乱してるのかしら。

すぐに物見岩に到着。

八島ヶ原湿原を見下ろします。古い雑誌の記事では「ここの下りが一番楽しいところだろう」とのことで、すごく期待していたのですが、ボコッとハマる斜面で何度も転び「あかんやん!」と泣きそうになりました。

広々とした雪原に出ると傾斜が緩み、直滑降で湿原へ。やや気持ちを持ち直します。右手(スキーライト)の樹林を意識してルートどりします。

やがてフェンスで行手を阻まれるので右手の樹林の中に入って行くと、ゲートがありました。
3.八島ヶ原湿原でランチ 車山肩に戻る

昔の何かの施設でしょうか。廃屋と冬季は閉鎖しているトイレがありました。ここで魔法瓶のお湯を沸かし直してカップ麺を食べました。風もないので素手になっても平気です。いい天気だな。

休憩したら八島ヶ原湿原の南の縁を登山道に忠実に歩き滑ります。右手は真っ白な空間が広がっています。

八島ヶ原湿原を過ぎるとゲートが現れくぐります。左側に大きな樹林が防風林のように立ち並んでいます。こちらには人気がなく静かな散策ができます。


御射山遺跡というのがありました。諏訪神社下社の御射山祭御狩神事が行われたところとのこと。平安時代から特に鎌倉時代を全盛とし元禄年間まで行われていたとのこと。確かめはしませんでしたが、ここのトイレも冬季閉鎖でしょう。

蝶々深山や物見岩への分岐点から車道のような広い道になり、なだらかなスロープを降りて行くと、沢渡(さわたり)に着きました。ヒュッテ・ジャヴェルの駐車場が除雪されています。ここから再び登りとなります。

沢渡からはトレースに沿って登って行くのですが、所々で崩れていたりして、スキーで新しくトレースを作ろうとするとまたボコっとハマることもあるので、時にはスキーを担ぐところもありました。

4.名物ボルシチは美味!日本酒のお土産も
そんなこんなで着いたのが「コロボックルヒュッテ」。全然意識していなかったのですが、こうして到着したのも何かの縁。中に入るとおしゃれな小物などいかにも人気のありそうな物品が売られています。迷わず名物のボルシチのセット(¥1,500)を頼みます。

酸っぱい味わいが美味しかった。パンもふわふわだし、サイフォンコーヒーも本当に美味しかった。疲れていたからかもしれないけれど、こんな贅沢はないなあと思いました。お勧めします。

帰りのお土産は、諏訪五蔵の日本酒です。「舞姫」「麗人」「本金」「横笛」「真澄」が甲州街道沿いに立ち並んでいるのです。この日は横笛の伊東酒造に寄って限定の純米吟醸「大寒仕込」(¥1,980税込)を買い求めました。酒蔵巡りをしている人も入れ替わり入ってきて試飲しています。皆さんご機嫌さんでした(笑)
「大寒仕込」はフルーティーな中にもしっかりした味わいがとても美味しくて「やばい」お酒でした。家人も喜んでくれました。

古い雑誌には書いていなかった立入禁止区域の設定で、やや自由さがないスキーツアーとなりましたが、昔から霧ヶ峰へ行くならスキーでと考えていたので満足です。白い山々に360度囲まれた大展望も流石の眺めでした。ボルシチも日本酒のお土産も楽しみにできるいい山旅となりました。
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