関西の花・9月の湖南アルプス サギソウと舞台造りの不動寺


サギソウが咲いていた
サギソウが咲いていた

湖南アルプスの紹介・アプローチ

昨今、乱立気味な「ご当地アルプス」ですが、湖南アルプスは古くからガイドブックにも紹介されている、由緒ある「ご当地アルプス」です。標高500メートル前後の低山の連なりですが、花崗岩の岩肌が露出して、琵琶湖を見下ろす展望に優れるなど、なかなかのアルプスぶりを発揮しています。

アプローチも良くて、JR石山駅から帝産湖南バスが「アルプス登山口」までわりと小刻みにバスを運行しています。「乗って残そう」帝産湖南バスには頑張って欲しいものです。マイカーの方もバス停より少し歩きますが、田上枝公園駐車場を利用しているようです。

今回は夏場に咲く花として貴重な笹間ヶ岳近くのサギソウと、ついでに太神山も回って周回するコースです。太神山には不動寺というお寺がひっそりとあるのですが、京都の清水寺を想起させる舞台造りで「こんなところに…」と驚くことでしょう。2025年9月の山行です。

■湖南アルプス(笹間ヶ岳〜矢筈ヶ岳〜太神山) 2025/9/7
アルプス登山口バス停(8:40/9:30)笹間ヶ岳(9:45/11:15)矢筈ヶ岳(11:20/12:30)不動寺(12:30/12:45)太神山(12:45/14:20)東急団地入口バス停

「アルプス登山口」バス停から笹間ヶ岳は車道が多い

アルプス登山口
アルプス登山口

JR石山駅を8時20分に出発する帝産湖南バスで「アルプス登山口」バス停へ。本家日本アルプスもびっくりの堂々としたバス停の名前ですね(笑)。乗客は私一人でした。やっぱりマイカー利用が多いのですかね。ICカード不可、現金450円必要です。
上の写真で大きな構造物は新名神の工事です。現在は名神高速の草津ICから新名神に乗り継ぎますが、京都府南部の城陽から大津JC(仮称)まで繋ぐのだそうです。全然知りませんでした。

アルプス登山口の時刻表
アルプス登山口の時刻表

アルプス登山口から天神川を少し戻り、民家と水路の間のパッとしない林道を行くとゲートがありました。笹間ヶ岳材料運搬道路と書いてあるので、「なんだろう?」と思っているとすぐに立派な道路に突き当たりました。

笹間ヶ岳へは車道を歩く
笹間ヶ岳へは車道を歩く

新名神の道路が本格化するにつれて、別の道路が開かれそちらが今のメイン道路となったようです。案内看板によって登山者は真ん中の道路に誘導されます。

新名神の工事が続いている
新名神の工事が続いている

車が通れるほどの道を「どこまで続いているんだろう?」と思いながら進んでいると、「火の用心」の小さい立て札があり、よく見ると笹間ヶ岳への道を示す銀のプレートがありました。これに気づかずに一度通り過ぎてしまいました。

舗装道路から山道に入るところのプレート
舗装道路から山道に入るところのプレート

花崗岩のざれ気味な道となり、高度を上げていくと、鳥居が現れました。笹間が岳の頂上には白山権現があって、地元では田植えが終わった頃に、「権現さん参り」して田植えの終了を報告するそうです。

笹間ヶ岳への道で鳥居現る
笹間ヶ岳への道で鳥居現る

途中から東海自然歩道の案内板も出てきました。バス停から50分で頂上に到着しました。

笹間ヶ岳山頂直下
笹間ヶ岳山頂直下の白山権現

笹間ヶ岳の頂上には「八畳岩」という大きな岩があってハシゴを登り切ると大展望が待っていました。

笹間ヶ岳の八畳岩 琵琶湖を見下ろす良き展望

笹間ヶ岳のハシゴと鎖
笹間ヶ岳「八畳岩」のハシゴと鎖

今回のコースで一番の展望です。

笹間ヶ岳の岩の上から
笹間ヶ岳「八畳岩」の展望

琵琶湖を見下ろすことができ、雲が頂上にかかっていますが比叡山も見ることができます。琵琶湖から瀬田川に流れ込むところも。石山寺周辺も見ることができました。

笹間ヶ岳の岩の上から琵琶湖と比叡山
笹間ヶ岳の岩の上から琵琶湖と比叡山

ちなみに笹間ヶ岳の三角点はハシゴとは反対側のところにあって、鎖が設置されています。奥ゆかしい三角点ですね。

笹間ヶ岳の三角点
笹間ヶ岳の三角点

笹間ヶ岳の展望を楽しんだら、次は本日のメイン、サギソウが咲いているという尾根上に点在する湿原地帯を目指します。花崗岩の山というとカラッとした印象なので、湿原地帯というのは珍しい気がします。

山頂から降りると尾根道の途中に巨石が現れたりして、変化があって楽しいです。

途中に巨石があったり
途中に巨石があったり

やがて道の右側に人工的な滝場が現れると、湿原地帯が近い証です。

人工的な滝場があったり
人工的な滝場があったり

湿原地帯に可憐な白い花 サギソウ

池のところに来ると、水際に白い花が見えました。サギソウです。シラサギが羽を広げ飛んでいるような姿から、その名がつけられたと言われていて、低山の湿地帯に7〜9月に花を咲かせるそうです。花言葉は「夢でもあなたを想う」「無垢」「清純」などです。

サギソウが咲いていた
サギソウが咲いていた

サギソウを目的として登りにくる人も多いそうです。とっても可憐ですね。

サギソウが咲いていた2
サギソウが咲いていた2
湿地帯が続いている
湿地帯が続いている

湿地帯から尾根状に上がりしばらく行くと出合峠です。

分岐点
分岐点

せっかくだから矢筈ヶ岳にも登っておきましょう。50~60mの急登を登り切ると、頂上があります。標高は562m。展望があんまりないので、少しがっかりするかもです。

矢筈ヶ岳はパッとしない頂上
矢筈ヶ岳はパッとしない頂上

矢筈ヶ岳からは比較的太い道を行くのですが、一ヶ所左の小道を選ぶところがやや分かりづらいです。目線に矢印が設置されています。やがて不動寺への道に合流しました。矢筈ヶ岳でも見かけましたが「東大津高校山岳部」の標識があります。標識をいくつも持ち上げるだけでも大変だったでしょう。とっても助かっています、ありがとう。

太神不動寺への道に
太神不動寺への道に

こんな山の中に舞台造りの本堂!太神不動寺は一見の価値あり 

太神不動寺の鳥居?に到着しました。左右にいる石像がとってもほっこりするお顔でした。

太神不動寺の鳥居
太神不動寺の鳥居
優しいお顔
優しいお顔
優しいお顔右
優しいお顔右

さて到着して驚いたのが本堂の建築様式です。崖地に長さが異なる柱を立て床下を作る懸造という構造形式なんだそうです。本堂は室町時代前期に作られたそうです。京都の清水寺を思い起こさずにはいられません。まさかこんな山奥にこんな立派な本堂があったとは…全く想像していませんでした。いや〜素晴らしい。

太神不動寺本堂すごい
太神不動寺本堂すごい

案内によると「本堂は桁行(けたゆき)三間、梁間(はりま)三間の平面で、巨石に食い込むよう背面突出部を持ち、須弥壇を構えて、方一間禅宗様の厨子を置きます」。
大正11年(1924)4月に本堂が国の重要文化財、令和4年(2022)に背面突出部、礼堂が追加指定されたそうです。

巨岩に寄りかかる本堂の屋根
巨岩に寄りかかる本堂の屋根

不動寺からもう少し上がると三角点がありました。山名標識が可愛らしい。

太神山の頂上
太神山の頂上

元来た道を辿り、東大津高校山岳部の標識からは、枝に向けて下ります。途中には「泣不動」というお不動さんが鎮座していたり

泣不動
泣不動

「迎不動」あたりは水遊びやバーベキューを楽しむ人たちで賑わっていました。

迎不動
迎不動

対岸を見上げると、花崗岩の尾根が見えます。堂山あたりの尾根だと思います。短い沢登りをしてあの尾根に行くのも良いなあと考えたり

堂山あたりの尾根が見えたアルプスっぽい!
堂山あたりの尾根が見えたアルプスっぽい!

アルプス登山口に着いたのは14時10分で、時間があったので、東急団地入口バス停まで10分ほど歩き、近くのスーパー・マーケットでアイスを買いました。美味しかった〜。
東急団地入口から15時38分発のバスに乗ってJR石山駅へと帰路につきました。

エフマートでアイスを買う
エフマートでアイスを買う

想像していたより樹林帯を歩いて、思ったほど暑くなく、展望も良くて(笹間ヶ岳)、暑さを忘れるサギソウの佇まいも見られたし、想像以上だった太神不動寺に圧倒されたし、中身の濃い低山ハイクでした。堂山も「今後行きたい山リスト」に入りました。


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