北摂・箕面大滝からキリシタン大名の高山へ 役行者昇天の地も 実は見どころいっぱいの公共交通日帰りハイク


箕面大滝-ドライブウェイからの客も混じり茶店が賑わっている
箕面大滝-ドライブウェイからの客も混じり茶店が賑わっている

コースの紹介(箕面大滝〜天上ヶ岳〜鉢伏山〜明ヶ田尾山〜高山)

北摂の山で有名なのは妙見山や、剣尾山、ポンポン山というところでしょうか。その他は低山がゆるゆると連なっているイメージです。しかしその分、里山の風景が広がっていて、なぜか懐かしい風景に出会うことができますよね。

今回は阪急箕面駅から箕面の滝を見た後、キリシタン大名として知られる高山右近の生誕の地「高山」まで歩き、最後はバスで阪急池田駅に帰るコースをご紹介します。途中にはなんと役行者の昇天の地とされるピークもあるのです。

参考にした昔のガイドブックとは一部異なる区間はありましたが、コースタイムは4時間40分でした。それくらいと思います。
以下のコースタイムは、寝坊をして出発が遅かったうえに、帰りのバスを一本早めたため、かなりスピードアップしたもので、あまり参考にしないでください。
ただし高山口から池田駅行きの阪急バスは13時48分、15時48分、17時48分とほぼ2時間おき(2025年9月時点休日ダイヤ)なので、計画を考える際はご留意ください。
(高山から20分ほど歩いて霊園事務所前から北大阪急行の箕面萱野駅へ出るバスもあるようですが、未確認です)

■北摂・箕面の滝〜天上ヶ岳〜高山 2025/9/15
箕面駅(9:20/10:05)箕面の滝(10:10/11:15)天上ヶ岳(11:20/11:55)みのお記念の森駐車場(11:55/12:45)明ヶ田尾山(12:50/13:05)高山バス停(13:05/13:45)高山口バス停

箕面の滝は日本の滝百選 マイナスイオンが溢れている

阪急箕面駅
阪急箕面駅

阪急宝塚線を阪大前石橋で箕面線に乗り換え、終点の箕面駅に到着です。マルーン色の車体がなんともいえず高級感があっていいですね。

箕面駅の駅前には東海自然歩道の西の起点の石碑があります。東の起点は…そう、あの高尾山です。東海自然歩道が高尾山から続いていることは、箕面市にとってはなんとなくアピールポイントになるような…そうでもないかな?
ちなみに右端は箕面市のマスコットキャラクター「滝の道ゆずる」君です!

箕面は東海自然歩道-西の起点だ
箕面は東海自然歩道-西の起点だ

箕面大滝への道を行くとまもなく見えるのが、そびえるタワー「箕面温泉スパーガーデン」です。関西の人にはCMでお馴染みですよね。

箕面温泉スパーガーデン
箕面温泉スパーガーデンのタワーがそびえる

昭和の人間からすると「箕面といえばサル」ですが、今回一匹も見ませんでした。箕面市では2010年にサルへの餌やりを禁止しています。それまでは観光客への悪戯が問題化していましたが、それも解消されたようです。昨今のクマ問題を見ると、野生生物と人間の間には一定の距離感は必要なのかもしれません。

サルへの餌付けは禁止
サルへの餌付けは禁止

箕面駅から箕面大滝へは、段差のない舗装された道が続きます。ですので、足腰に不安のある方も安心して散策できるのではないでしょうか。実際のところ、ジョギングの方や早朝ハイクの方、馬(!)の散歩の方などおもいおもいに緑を楽しまれていました。

緑の中の道は舗装されていて、足腰の悪い人でも大丈夫
緑の中の道は舗装されていて、足腰の悪い人でも大丈夫

やがて箕面大滝に到着しました。大滝に到着する手前で駐車場から来る観光客も合流するので、大変賑やかです。それにしても落差33mの箕面の滝はこの辺りでは出色の迫力です。日本の滝百選に選ばれるのもわかります。滝もそうですが、両脇の岩塊の峨々たることにも感銘しました。

箕面大滝-ドライブウェイからの客も混じり茶店が賑わっている
箕面大滝-ドライブウェイからの客も混じり茶店が賑わっている
箕面大滝はこの辺りではとても立派だ
箕面大滝はこの辺りではとても立派だ

役行者の昇天の地、天上ヶ岳へ

ライブウェイの大滝上駐車場(旧大日駐車場)
ドライブウェイの大滝上駐車場(旧大日駐車場)

箕面の大滝から左岸につけられた駐車場への舗装道路を進みますと、やがてドライブウェイに合流し、しばらく行きますと「大滝上駐車場」に着きました。以前は大日駐車場と呼んでいたそうです。写真を見ますと、まだちょっと余裕があるようですね。しかし紅葉の頃は大変な混雑になることでしょう。こう考えると箕面の駅から歩いて行くのが一番良いように思うのですが、いかがでしょうか。

ドライブウェイ沿いの道を行きますと、しばらくして突き当たり左手の山へ入りますと、先ほど大滝でゴウゴウと水を落としていた箕面川がさらさらと流れています。小さな橋を渡ると分岐点があって右手の山道に入って行きます。

橋(箕面川)を渡って右手へ上がる
橋(箕面川)を渡って右手へ上がる

時々わかりにくいところがあるものの、やがて自然研究路2号線と合流しました。ここからは箕面自然歩道を通って天上ヶ岳へ進みます。下の写真で地図看板の右すみに「天上ヶ岳」への手製の標識があります。

自然研究路2号と合流し、箕面自然歩道へ
自然研究路2号と合流し、箕面自然歩道へ

しばらくして天上ヶ岳への分岐。せっかくなので寄る事にします。この時はこの山のいわれを全く知りませんでした。

天上ヶ岳への分岐
天上ヶ岳への分岐

「誰かいるのかな」と思ったシルエットは役行者でした。全く知らなかったのですが、ここは役行者昇天の地。つまり亡くなったところだというのです。これって私だけが知らなかったのでしょうか。瀧安寺のHPでも記されていました。

天上ヶ岳は役行者昇天の地とされる
天上ヶ岳は役行者昇天の地とされる

みのお記念の森から鉢伏山、明ヶ田尾山を経て高山へ

しばらく車道を歩く
しばらく車道を歩く

天上ヶ岳をすぎると一旦下り道が続き、バラックなど人がいるのかどうかよくわからないところすぎて、車道に当たりました。五月山の標識がところどころにあったので、この道は箕面ダムと五月山を結ぶ道路のようです。

車道をしばらく歩いていると、やがて「ハイキング道」の大きな看板があって、歩いて行くと、右手に駐車場がありました。どうやら「みのお記念の森」というところのようです。1990年の花の万博を記念して、なぜか箕面の森に記念の森を大阪府が作ったそうです。実際のところ日差しが差し込む芝生があったり、とっても気持ちの良いところのようでした。お弁当とか食べるのに良いかもしれません。

みのお記念の森に入る
みのお記念の森に入る。もう少し進むと良さそうな芝生が見えた。

その後、ずんずん歩いているとパッと明るいところに出ました。古いガイドブックをみると、この辺りは笹原、カヤトの原っぱが広がっていたようですが、全然そんな気配がありません。実は楽しみにしていたのですが、この30年くらいの間に随分変わってしまったようです。

分岐-鉢伏山へは背中の方向へ
分岐-鉢伏山へは背中の方向へ

上の写真の分岐を背中方向に向かって行くと箕面鉢伏山に着きました。

鉢伏山の山頂
箕面鉢伏山の山頂

先ほどの分岐まで戻り、明ヶ田尾山を目指します。途中に「風雨の中がんばってます。弱いです 優しく使ってください」とお手製の椅子がありました。座ってみましたが、カチッとしていて決して弱くはありませんでしたよ。

ところどころにあるお手製の椅子
ところどころにあるお手製の椅子

本日最後のピーク明ヶ田尾山に着きました。いろんな標識がこれでもかと立てられています。

明ヶ田尾山の頂上
明ヶ田尾山の頂上

少し戻って高山地区への道を選びます。木製の階段など整備された道をタッタカ降りていくと、やがて高山の集落に着きました。

高山へは30分
高山へは30分

高山「右近の郷」にはキリシタン由来の地が点在

高山右近生誕の地
高山右近生誕の地

高山といえば、キリシタン大名の高山右近です。高山右近はこの集落で生まれたそうです。織田信長や豊臣秀吉のもと活躍したものの、禁教政策で最後はフィリピン・マニラで客死しています。終生キリシタンであることを変えることなく、戦国時代を生き抜いた武将でした。

下の写真は高山の棚田の方面です。谷間の奥が棚田になっているのだと思います。

高山の棚田
高山の棚田

高山でバス停を見つけ喜んだのですが、回送のバスを目の前で見送りました。時刻表を見ると北摂霊園行きが13時から15時台に1本ずつ。北摂霊園???となりました。
そこで当初の予定通り、高山口のバス停を目指して歩く事にします。google mapですと45分くらいの道のりです。13時48分のバスまであまり時間がないので急ぐ事にします。

しかし途中で「マリアの墓」という案内板を見てしまい、「これは見ずにはいられない」と思って道から外れて見に行きました。集落の奥手の山の中にそれはありました。

4基からなりますが、1基は離れているそうです。墓碑には1730〜51の年号が刻まれていて2組の夫婦の墓と伝えられています。明治時代の古老によると、江戸幕府のキリシタン禁教後にも村に2軒残った夫婦のものではないかとのことです。本当だとすると高山の集落には右近が死んでからも100年間はキリシタンがいたことになりますね。宗教の力はすごいです…

マリアの墓
マリアの墓

マリアの墓に寄ったりしていたので、時には小走りになって、高山口に着いたのはギリギリ13時40分過ぎでした。バス停前はキャンプ場となっていて、賑やかな声が聞こえてきます。夏の最後の賑わいといったところでしょうか。

高山口バス停前はキャンプ場
高山口バス停前はキャンプ場

阪急バスに揺られ、せっかく池田駅に来たのだからと、駅近くの「にいみ酒店」に行き、呉春の酒を買って帰ろうと思ったのですが、呉春は一升瓶しか作っていないそうなのです。
流石に持って帰るのが大変だということで、「他にないですか?」と聞くと、能勢の秋鹿酒造を勧められました。冷酒ならということで、純米吟醸の歌垣(1,980円)を購入しました。

能勢の日本酒-秋鹿の歌垣
能勢の日本酒-秋鹿の歌垣

箕面大滝はいつ見たのかも思い出せないくらい昔ですので、本当に久しぶりに見たのもよかった。役の行者の終焉の地が、箕面にあるとは知りませんでした。高山右近は戦国大名としてドラマに出ているのはよく見ていましたが、マリアの墓をみるとその影響力の強さと、村人の信仰の厚さに感じ入るところがありました。異教と言われ、禁教されて、なお信じる心には、どんな心の芯があるのだろうと想像してしまいます。


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