京都山城・笠置山で行場巡りハイキング 巨石と磨崖仏、太平記の世界 公共交通で


笠置寺の弥勒磨崖仏すごい
笠置寺の弥勒磨崖仏すごい

京都山城の笠置といえばキャンプ場が真っ先に頭に浮かぶことでしょう。木津川沿いのボルダリングやカヌーも有名です。歴史の舞台としても後醍醐天皇が幕府軍相手に籠城する舞台であり、この攻防は「太平記」の序盤のクライマックスとされています。

笠置山の行場巡りは整備されていて、その巨石と磨崖仏を1時間ほどで回ることができます。巨石はとてつもなく大きくそれだけでも感嘆の声をあげる事でしょう。駅においてあったパンフレットには次のようなキャッチコピーがありました

弥生人が祈りをささげた巨石
やがて御仏が刻まれ弥勒の聖域となる。
戦乱によりそのお姿は消えようと
今も山は人々を誘う。

実はあんまり予備知識がなく笠置山に登ろうとしていたのですが、駅でパンフを見て「行場巡り、ええなぁ」とまんまと釣られた私です(笑)
成り行き任せでしたが、想像以上に巨石には心揺さぶられましたし、太平記の歴史にも関心が湧きました。コースタイムは駅から駅に戻っても3時間くらいでしょうか。お手軽にアスレチック気分も味わえて楽しいですよ。

■笠置山・行場巡り 2025/7/21
JR笠置駅(10:55/11:30)笠置寺(11:30/12:45)行場巡り・昼食で笠置寺(12:45/13:20)笠置橋経由でJR笠置駅

関西本線・笠置駅はローカルな良き駅です

笠置駅はローカル線の雰囲気漂う
笠置駅はローカル線の雰囲気漂う

JR奈良駅から加茂駅まで大和路線で行きますが、ここから関西線の本数は一気に減ります。加茂駅で40分ほど待って、2両編成の列車に乗り込みます。加茂から1つ目の駅、笠置で下車。ワンマン運転で、運転席後ろのICカードで支払います。ホームが一つだけの駅ですが、駅員さんはいらっしゃるようでした。

駅前には昭和感あふれるジオラマが待ち構えています。太平記での笠置の戦いを再現しているのです。

太平記の世界
太平記・一ノ木戸の戦いの場面だそうです 弓矢が足助重範、怪力が僧本性房

駅から笠置の街へ歩きます。酒屋や本屋、クリーニング店に薬屋、ビリヤード。看板だけ見ているとすごく賑やかな街だったことがわかります。今はほとんど営業していないようですが、代わってカフェなどが、点在しているようです。街に魅力を感じる若い世代がいるということですよね。

笠置の街中へ
笠置の街中へ

上の写真の突き当たり右の方向に歩きますと、「歓迎」のアーチがあります。道路の地名は「登山口」。間違いようがないはっきりした登山口です。

登山口から山道で笠置寺へ 太平記の序盤クライマックスの地へ

登山口についた。山道は突き当たり右に入る
登山口についた。山道は突き当たり右に入る

登山口からすぐに山道に入ります。土砂がたまっていたり、小石が散らばっていたり、わりと荒れた感じの道でした。

山道は割と荒れた印象
山道は割と荒れた印象

山道が車道と合流したところは、一ノ木戸跡と呼ばれています。後醍醐天皇の一連の鎌倉幕府倒幕の戦乱「元弘の乱」の序盤ハイライト「笠置山の戦い」の中の一ノ木戸をめぐる攻防の舞台です。駅前にあったジオラマはまさしくこの一ノ木戸を巡る攻防でした。攻め上がる鎌倉幕府軍相手に堅牢な木戸を擁するこの場所で足助重範(あすけしげのり)という弓の名手が立ちはだかったとのこと。駅前ジオラマで弓を引いていたのは足助重範ですね。怪力は僧本性房という正体不明の僧侶だそうです。

一ノ木戸跡
一ノ木戸跡 太平記のことを知らずに呑気に道案内にフォーカスしている自分が恥ずかしい
もうひと登りで笠置寺
もうひと登りで笠置寺

階段をひと登りすると「松本亭」という料理旅館がありました。ソフトクリームやかき氷などもあるようです。キジ鍋など名物みたいですね。テイクアウト可能。

茶店もある
料理旅館もある

笠置寺の行場巡り 巨石と磨崖仏が圧巻

笠置寺
笠置寺

さていよいよ笠置寺の行場巡りです。お寺の受付で拝観料の500円を払いスタートです。すぐに巨石が見えたと思ったら、その向こうに現れたのが前傾した弥勒磨崖仏。高さ20メートル、幅15メートルの笠置寺本尊です。仏の姿は火災で焼けくずれ、今では光背形を残すだけのように見えますが、特殊カメラで最初の彫刻線が見つかっているそうです。

笠置寺の弥勒磨崖仏すごい
笠置寺の弥勒磨崖仏すごい

弥勒磨崖仏の左隣には笠置石(かさおきいし)。鹿狩りに訪れた天武天皇が皇子の頃、この岩の上で進退極まりましたが、仏を祈念して難を逃れることができました。後日の目印として岩の上に笠を置かれた事が由来とのこと。町名の由来でもあるそうです。

笠置石
笠置石

木津川沿いのボルダリングエリアは知っていますが、こんなところにもエリアがあるのですね。知りませんでした。町がバックアップしているところを見ると、クライマーと笠置町は非常に友好的な関係のようです。

ボルダリングエリア発見
ボルダリングエリア発見

続いて現れたのが千手窟と虚空蔵磨崖仏です。人が手前にいますが、巨石の大きさがわかりますよね。こういうのを見るとホントわくわくするのですよね。性分として。

千手窟と虚空蔵磨崖仏の大きな石
千手窟と虚空蔵磨崖仏の大きな石

図像学的には諸説あるそうですが、お寺では虚空蔵菩薩像とみなしているそうです。記憶力が良くなる御利益があります。

虚空蔵磨崖仏
伝虚空蔵磨崖仏

胎内くぐりです。ここからが修行の始まり。滝に打たれる代わりに岩をくぐる事で身を清めたという。安政地震で天井岩が落下し、切り石の天井となった。

胎内くぐり
胎内くぐり

お次は太鼓石。丸い窪みの右側を叩くと「ポン、ポン」と音がなる。岩登りをしているときにこういうのが出てくると「このフレーク大丈夫なのか」と不安になった経験ありますね。

太鼓石
太鼓石

しばらく階段状のアップダウンがあって上に登ると、ゆるぎ石があります。右端の尖ったところを下に押すと動くとのことですが、ちょっとわかりませんでした。

ゆるぎ石
ゆるぎ石

木津川を見下ろす事ができました。バックに山城の山々が連なっています。ゆるぎ石の後、二の丸跡に東屋があり、魔法瓶のお湯でカレー味のカップラーメンを食べました。この暑いのになんで?と思うでしょうが、安定の美味しさでした。

木津川を見下ろす
木津川を見下ろす

階段を上り詰めると行在所跡(あんざいしょあと)に着きました。この場所で後醍醐天皇は籠城したのだそうです。

後醍醐天皇行在所跡
後醍醐天皇行在所跡

行在所後のすぐ下にもみじ公園があります。なるほど紅葉の頃にはとてもきれいでしょう。この日は緑がとてもきれいでした。

行在所もみじ公園は緑がいっぱい
行在所もみじ公園は緑がいっぱい

山頂ボルダリングエリアと笠置キャンプ場について

寺の受付に戻って、ボルダリングエリアのことを聞くと、受付で名前を書いて清掃協力費500円を寄付する仕組みのようです。10人くらいの名前が書き込まれていました。
「お寺の管轄とは別なんです」と言ってました。「よく登りに来るのですか?」と聞くと「そんなでもないですが…」とのこと。

ボルダリング利用者は清掃協力金を
ボルダリング利用者は清掃協力金を

下山は舗装路を歩いてみました。山道と時間的にはあまり変わらないそうです。

元来たアーチをくぐり木津川へ。笠置橋からキャンプ場を眺めます。昔は草がぼうぼうだった覚えがあるのですが、芝生できれいに整備されています。
2025年に町100%出資の新会社での管理運営を目指す笠置町でしたが、新会社設立がスケジュール通り進まず計上していた予算から準備金を削除しました。このことから一時は閉鎖するのではとの憶測が流れ心配されましたが、とりあえず平穏なシーズンを迎えているようですね。
7月から京都の若い起業家の会社が運営するそうです。ぜひ地元に金が落ちるような運営であって欲しいものです。

笠置のキャンプ場
笠置のキャンプ場

奈良駅で御所の日本酒・五神を購入。JR奈良駅2階の「もも太朗」で御所の日本酒・五神(¥2.035)を買いました。店員さんの一押しでしたので楽しみです。

日本酒の五神を奈良駅で購入
日本酒の五神を奈良駅で購入

思った以上に良かった笠置山。たった288mですが、帰ってからも歴史のことを調べたり、いろんな味わい方ができる山でした。ローカル線で遠いのですが、数時間で回れるし、旅気分を味わえるし、アスレチック気分も味わえるしでいい山行でした。カフェなんかで時間を潰すのもいいかもしれないなあと思ったり。


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