関西の雪山・魚谷山 京都北山の聖地を訪ねる 公共交通日帰り


京都北山は雪のある季節が好きです。高校生の時に担任の先生に連れられて残雪の皆子山に登ったのが、忘れられない思い出になっているのです。その頃から桟敷ヶ岳、魚谷山、花背峠、天ヶ岳あたりの山を雪のある時期に登りたいと思い続けていました。しかし雪がつく頃は限られていて、仕事の忙しさも相まって、これらの山々にはなかなか行けずにいました。歳を重ねてここ数年の間にこの地域を訪れているのは、少しは時間に余裕を持つことができたのと、残りの時間がないのに気づいたからか…

魚谷山はこの山並みを「京都北山」と名付けた今西錦司氏らのホームグラウンドとして知られています。今西氏をはじめ、京都一中の知の巨人たちがこの地から世界へ旅たったわけですから聖地といっても差し支えないでしょう。
今回は公共交通「雲ヶ畑もくもく号」を利用して、出合橋を起点に直谷から柳谷峠に上がり魚谷(いおだに)山頂上へ。頂上から魚谷峠に下り、林道を出合橋まで戻る周遊コースをご紹介します。無積雪期では出合橋バス停(2時間20分)魚谷山(1時間55分)出合橋バス停の計4時間15分のコースタイムです。

(注意)京都市森林組合により、松尾谷出合から滝谷峠付近までは伐採作業のため断続的に通行止めの看板がありました。2026年6月末までの措置とのことです。私の訪問時は降雪があったためか作業は行われておらず、自己責任で注意して通行させてもらいました。

「雲ヶ畑もくもく号」で出合橋へ 直谷沿いの林道を遡る

雲ヶ畑もくもく号で出合橋で下車
雲ヶ畑もくもく号で出合橋で下車

雲ヶ畑もくもく号は北区自治振興会が運営主体となり、弥栄自動車に業務委託する形で、北大路駅から1日に2往復しています。登山に利用するには8時40分の北大路駅発雲ヶ畑岩屋橋行きに乗り、15時10分発雲ヶ畑岩屋橋発北大路駅行きのバスに乗るしかありません。(雲ヶ畑発は平日だと50分繰り上げの14時20分発)
車内にも「仲間にもどんどん広めて利用してください」旨の案内がありました。ぜひご利用ください。片道700円です。

さて出合橋に9時過ぎに到着して、中津川沿いの林道を奥に向かって進みます。

出合橋の集落
出合橋の集落

やがて松尾谷分岐に到着しました。右手の林道が予定しているルートなのですが「木材伐採中のため滝谷峠前後にて通り抜けできません。他の登山ルートをご利用ください 令和8年6月末迄 京都市森林組合」との看板があり思案します。
本日は雪のためか作業もしていないようですので、十分注意して進むことにしました。ですので、このルートをお勧めはしません。少なくとも作業中はやめたほうが良いと思います。魚谷山を登るだけなら松尾谷から魚谷峠に上がり、ピストンするのが無難かもしれません。

松尾谷分岐を右の林道に進路をとる
松尾谷分岐を右の林道に進路をとる

直(すぎ)谷沿いの流れは穏やかで静かに流れています。粉雪もちらついていて風情があります。

だんだん雪が出てきた
だんだん雪が出てきた

林道の右手に古びた小屋がありました。「麗杉荘」の文字があります。あとで調べたところ「京都北山と丹波高原」の著者森本次男氏が昭和10年に建てたとの記述がありました。「れいざんそう」と読むそうです。ずいぶん朽ちていましたが、さすがに当時のものではないと思います。
国立国会図書館デジタルコレクションで著作を読みましたが「私共の仲間の新人は先づこの小舎で山登り第一課を教えられる」とありました。若い山仲間が語らうシーンが目に浮かぶようです。

麗杉荘もあった
麗杉荘もあった

滝谷峠へ向かう林道から離れ左の谷の林道を進みます。この辺りは作業途中の木材が積み上がっていて、慎重に進みました。

滝谷峠分岐を左に
滝谷峠分岐を左に

京都北山の聖地から魚谷山へ

652地点左の沢沿いの道を進む
652地点左の沢沿いの道を進む

地形図の652地点左側の沢ぞいを北上していると、林道が南に折り返しているので「さてどうするかな?」と悩みます。目の前の沢が無積雪期のルートになるようですが、雪がついていかにも嫌らしそうです。しかし林道もどこへ連れていかれるかわからないと考え、この沢ぞいをトレースしてみることにします。

意を決して沢ぞいの道に突入していくと、沢を渡渉したり、斜面をトラバースしたり、倒木をくぐったりと、多少いやらしい部分はありますが、「北山らしい」と言えなくもありません。が、あんまり一般の方にはおすすめできません。

さて一段上がると開けたところに出ました。フーッと一息つけました。

「北山の小舎」発祥の地
「北山の小舎」発祥の地

この地で見つけたのが「北山の小舎」発想の地の標識です。京都一中と言えば、今西錦司、梅棹忠夫、西堀栄三郎、桑原武夫など錚々たるメンバーを輩出しています。
先ほどの森本氏の著書でも「北山最古の山小舎であったが、近年改築大変よくなった。常に生徒たちの山岳錬成が行われている」と触れられています。どんだけ若者がこの北山にいたんだろう…

北山の小舎-発祥の地
北山の小舎-発祥の地

今西錦司氏のレリーフもこの辺りにあるようですが、この日は見つけられませんでした。

北山の小舎発祥の地から左手の沢に入ります。時には浅い流れの中を遡ったりしながら歩いて行きますと、やがて突き当たりのような源頭に立ちました。

時々渡渉がある
時々渡渉がある

左手にテープを見たので(登山用テープらしいのをみるのはこの日初めてだった)、上がるとそこが柳谷峠でした。

柳谷峠の手前-左手に上がっていく
柳谷峠の手前-左手に上がっていく

柳谷峠周辺は緩い地形となって、とても素敵なところです。しかし一瞬方向感覚をなくしてしまいそうです。

柳谷峠から魚谷山までは広くてわかりにくい
柳谷峠から魚谷山までは広くてわかりにくい

コンパスとGPSを見て開放的な、なだらかな凹状を詰めていき、樹林を潜ってぽっかりと空いた空間に到着しました。そこが魚谷山の山頂です。展望はなしですね…

魚谷山の頂上
魚谷山の頂上

魚谷峠からは林道をひたすら下る

桟敷ヶ岳が見えた
桟敷ヶ岳が見えた

魚谷山から複雑な尾根筋を下ります。途中で桟敷ヶ岳が見えました。左手に見えた送電線に覚えがあるので、多分間違いないと思います。間もなくで魚谷峠です。

魚谷峠
魚谷峠 右の林道を下っていく

金久昌業氏の著書「北山の峠」でも触れられている由緒ある峠ですが、林道が通ってしまっていて、風情は感じられません。
かつては馬車で木材を運ぶ木馬(きんま)道から山道になってこの魚谷峠に通じていたそうです。

時折太陽の光を浴びながら林道をひたすら下り、松尾谷分岐まで至り、出合橋まで一気に下りました。

あとは林道を下るだけ
あとは林道を下るだけ

出合橋には13時半に着きました。バスは15時15分なので1時間45分もあります。そこでバス料金が安くなる(¥400)高橋まで歩くことにしました。1時間20分ほどの行程でした。得した気分♪

魚谷山は5月頃にはクリンソウも咲くそうですから、その頃に訪れるのも良いかもしれません。少しヒルが気がかりですけど。


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