9月の岩木山 雄大な裾野広げる津軽富士 百沢から嶽へ日帰り


弘前城から眺める岩木山
弘前城から眺める岩木山

岩木山は青森県の最高峰で標高は1,625m。1863年の噴火を最後に火山活動を休止している。古くから津軽の人々に信仰され、いまでも旧暦の8月1日に「五穀豊穣」「家内安全」を祈ってお山参詣が行われています。

日本百名山に選ばれていて、作者の深田久弥翁氏は次のように記しています。

弘前から眺めた岩木山は津軽富士とも呼ばれるだけあって、まことにみごとである。平地に孤立した山であるから、1,600mの山とは思えないくら堂々としていて、思う存分その裾を伸ばしている。

さらに深田氏は太宰治の小説「津軽」の一場面も引用しているます。少し長いですが、私も「津軽」は好きな本なのでそのまま引用します。太宰は弘前よりもっと北の金木の生まれです。

「や!富士。いいなあ」と私は叫んだ。富士ではなかった。津軽富士と呼ばれている1,625mの岩木山が、満目の水田の尽きるところに、ふわりと浮んでいる。実際、軽く浮んでいる感じなのである。したたるほど真蒼で、富士山よりもっと女らしく、十二単衣の裾を、銀杏の葉をさかさに立てたようにぱらりとひらいて左右の均斉も正しく、静かに青空に浮んでいる。決して高い山ではないが、けれども、なかなか、透きとおるくらいに嬋娟(せんけん)たる美女ではある。

アプローチは弘前駅から岩木山神社前までバスに乗ることができます。下山は嶽温泉。神社から岩木山山頂まで4時間、頂上から嶽温泉までの下山は2時間半ほどです(山と渓谷社のガイドより。登山アプリでは7時間半)

登山コースは百沢、嶽、松代、長平、大石、弥生、津軽岩木スカイラインの各コースがあって、スカイラインからは登山リフトが伸びていて、比較的手軽に登れる山となっていますが、ここでは岩木神社から登る百沢コースを紹介します。2022年9月の山行記録です。

■岩手山 (2022/9/25)
岩手山神社(8:00/11:20)岩手山(11:30/13:30)嶽温泉

岩木神社から百沢スキー場を登る

台風が3連休を台無しにしてしまった、と思ったら9月25日だけは北日本を中心に晴れ間が広がりそうとの予報。前々日にJR東日本のサイトを見ているとお得なツアー券が出ていたので速攻で予約して、まだ雨の降る土曜日の朝に出発。青森、弘前で観光して翌朝弘前バスターミナルから弘南バスに乗り込みました。

岩木神社
岩木神社

岩手山神社でバスを降りて参道を歩きます。お天気はピーカン。参道のその先には岩手山が立っています。なかなかの演出効果で、テンションが上がりました。神社に参拝して左手から森の中に入って行きます。

桜林公園ではオートキャンプが気持ちよさそうでした。

岩木神社上のキャンプ場
岩木神社上のキャンプ場

さらに足を進め百沢スキー場のリフトの起点から登り出します。

目指す岩木山-スキー場を登る
目指す岩木山-スキー場を登る

森の中に入ると自然林がとてもきれいです。紅葉にはまだ早いようですね。

東北らしい綺麗な森だ
東北らしい綺麗な森だ

途中「鼻コクリ」と言う奇妙な名前がありました。鼻をこすりつけるほどの急な坂ということらしい。でも急斜面はそれほど長くもなかった。

鼻コクリ
鼻コクリ
アキノキリンソウ
アキノキリンソウ
ノコンギク
ノコンギク

展望が開けました。見える山並みは八甲田山でしょうか?

百沢コースから-八甲田だろうか?
百沢コースから-八甲田だろうか?

展望が良い道を進むとやがてブロック造りの焼止まりヒュッテに到着しました。

焼止まりヒュッテ
焼止まりヒュッテ

焼止りヒュッテを過ぎると大沢沿いの急登となります。露岩が多く手を使って登るところもしばしばです。とは言っても危険ということもなく、皆さん楽しそうに登っていました。錫杖清水では学校登山らしき集団で賑やかです。

焼止まりヒュッテから沢沿いを種蒔苗代、鳳凰ヒュッテまで

沢沿いの道を登って行く
沢沿いの道を登って行く

錫杖清水の水場を過ぎてなだらかになった道を進んでいると右手に「あれが頂上かな?」と思わせるピークらしきものが見えて来た。実際は違いました。いつもの希望的観測です。

種蒔苗代と岩木山頂上-左手に小屋がある
種蒔苗代と岩木山頂上-左手に小屋がある

鳳凰ヒュッテは高校生が亡くなった遭難から

種蒔苗代を過ぎてもうひと登りすると鳳凰ヒュッテです。1964年に秋田県立大舘鳳凰高校が冬の登山で遭難したことをきっかけに建設されたそうです。あの遭難は本で読んだことがある。岩木山岳会のプレートもありました。雪崩に巻き込まれたそうです。岩木山の冬はまた全然違う厳しさなんでしょうね。

鳳凰ヒュッテの銘板
鳳凰ヒュッテの銘板
鳳凰ヒュッテ
鳳凰ヒュッテ

嶽コースと道が合流するので、鳳凰ヒュッテから人が増えました。八合目からリフトに乗ってやって来た方が大勢います。というわけで頂上は大にぎわいです。鳳凰ヒュッテから30分ほどで頂上に着きます。

岩木山頂上は大賑わい 日本海が見える

岩木山頂上に着いた
岩木山頂上に着いた

山頂からの展望では海岸線も見えましたが、あれはどのあたりになるのだろう?海が見える頂上は大好きです。

日本海が見える
日本海が見える

この時点で11時半。この分だと嶽温泉まで下山して温泉入って14時半のバスに乗れそうだとわかると、ズンズン下り出した。まずは八合目を目指します。

八合目までリフトで登れるのだ
八合目までリフトで登れるのだ

頂上から駐車場までは40分ほどでした。

駐車場からの道は歩きやすそうです。途中からはほぼ平坦となって13時半に嶽温泉につくことができました。
日帰り温泉で汗を流し、14時半のバスに乗って帰ります。

嶽まで下る
嶽まで下る

弘前から奥羽本線で新青森駅へ向かうのですが、車窓に岩木山が映って目が離せませんでした。それくらい美しく雄大な裾野の広がりでした。

前日には弘前城からも正面に望むことができました(1枚目の写真)。この地方の人たちの生活の中心に岩木山があるに違いないですね。朝に夕に岩木山を望んで暮らす弘前の人たちの誇らしさを感じます。岩木山、いい山です。

中みそのラーメン
中みそのラーメン 美味しかった!(その後ビル取り壊しに伴い閉店したそうだ)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP