白山書房が廃業 日本百名谷、山の本、クラジャーなど


山と渓谷の2024年11月号ヤマケイジャーナルに小さな記事が出ていました。

1979年9月に創業、45年にわたって山岳書籍を刊行してきた白山書房が2024年8月末をもって会社解散を発表。沢登りの専門誌「フォールナンバー(前身「渓流」)」〈79〜86〉年や岩登りの専門誌「クライミングジャーナル」(82〜91年)など、コアなクライミング誌で一時代を築き…

白山書房が廃業 本を並べてみた
白山書房が廃業 本を並べてみた

「クライミングジャーナル」略して「クラジャー」は「岩と雪」の気高さとは対照的で、なんともファンキーな紙面づくりで人気がありました。

「日本百名谷」は単なる沢ガイドではなく、エッセイとも言えそうな香り高い文章で日本全国の沢を私たちに教えてくれました。文章が好きで、何度も読んだ覚えがあります。

関西人にとっては「関西周辺の谷」「関西の岩場」それに「関東周辺の谷」もお世話になりました。「関西周辺の谷」で中庄谷直さん、大阪わらじの会という人たちの存在を知り、「関西の岩場」は妙なイラストで頭が混乱しながら(笑)、金比羅や堡塁や道場、北山公園に通いました。「関東周辺の谷」は関西人に馴染みがない上信越などの沢を紹介してくれました。

さらに「山の本」の発行は衝撃的でした。山に関するエッセイ、紀行文だけで雑誌を作ったのです。一時期、大学山岳部の仲間の間でも「読んだか?」というのが挨拶になるほどでした。第1号に寄せられた文の作者を見てみると、打田瑛一、沢野ひとし、佐伯邦夫、石井光造、遠藤甲太、大内尚樹などなど大変豪華な顔ぶれでした。

こうして考えると、山の文の書き手を育ててくれた存在だったのだと思う。本当に残念ですが、よく頑張ったと言えるのかもしれません。しかし寂しいなぁ…


“白山書房が廃業 日本百名谷、山の本、クラジャーなど” への2件のフィードバック

  1. 二個の巣のアバター
    二個の巣

    隔月クライミングジャーナルは全巻購入しましたが、出版社の廃刊理由によれば、その出版使命を終えたとのことで10年の短命でした。
    それから3、4年の後に季刊山の本の出現には驚きました。山の本の初期には、山歩き読本とサブタイトルがありましたが、クライミングや冬山の記事も見られるようになりました。
    部数の広がりが「山歩き仲間意識」の繋がりになりましたが、有能な新規投稿者への警戒感、クライミング記事への狭い了見からの無関心が、新規購買層を伸ばせずに結局は山の本の寿命を縮めたように思います。
    廃刊理由は、出版社側によればコロナ禍で部数が落ち込んだとのことでしが、個人的にはもっと違う理由があったと思います。

    1. かばたんのアバター

      二個の巣様
      クライミングジャーナルの前は沢登り専門雑誌「Fall Number」もありましたね。
      「有能な新規投稿者への警戒感、クライミング記事への狭い了見」ですか…色々あったんですかね。私は出版界全体が抱える販売不振が原因だと思っていました。マニアな編集方針はweb時代でも悪くないと思うのですが。
      またどうかご意見ください。

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