
蒜山の紹介とアプローチ、縦走のコースタイム
蒜山(ひるぜん)は鳥取県の伯耆大山から南東に延びる火山の連なりの一部をなしています。岡山県と鳥取県の県境であり、分水嶺でもあります。上蒜山、中蒜山、下蒜山の三座はおおらかな山稜を連ねていて実に優美。麓ではジャージー牛が草を食む牧歌的な雰囲気もあって岡山県でも人気のある観光地です。
上蒜山(1,202m)は日本二百名山に選ばれていますが、せっかく行くのだからと三山を日帰り縦走する計画を立てました。
問題はアプローチと帰路です。高速バスが大阪から蒜山高原まで出ているので、公共交通だけでも行けるだろうと思ったのですが、調べてみると帰りの高速バスが12時半前で縦走するには時間的に早すぎる。電車で帰るにもその日じゅうに帰宅できるかどうか微妙。というわけで、ここはマイカーでアプローチし、下山後は「湯船口」から「道木目」までコミュニティバスを使って車に戻る計画に…。
東から登るか、西から登るかですが、コースタイムは西から登る方が短いのですが、下山後は蒜山高原でアイスでも食べようと思い、東の下蒜山から西に向かい中蒜山、上蒜山へ縦走することにしました。(結局、下山後はアイスも食べなかったけど…)。
コースタイムは下蒜山登山口から上蒜山登山口まで7時間25分です(環境省サイトより)
■蒜山三山縦走 2025/10/10 実歩行タイム
下蒜山登山口(8:15/9:30)下蒜山(9:45/11:10)中蒜山(11:35/12:20)上蒜山(12:20/13:30)上蒜山登山口(13:30/15:55)下蒜山登山口
「来てよかった」と思える下蒜山五合目のササ原

湯原ICで高速道路を下りてロマンティック街道を北へ。蒜山高原に入り道木目から北へ行くとすぐに下蒜山登山口がある犬挟峠(いぬばさりとうげ)に着きました。峠には火葬場があってトイレが利用できるほか自動販売機があります。
登山口からしっとり感のある山道を登ります。粘度のある黒土で「これは滑りやすそうだな」と思いました。やがて丸太階段が続く急登となりました。こういうところにも鎖が備えられています。

少し平坦な道に戻ったと思ったら、また急登。今度は岩が積み上がったような道です。ここにも鎖が設置されています。

急な登りを終えて、空が広くなってきたと思ったら、五合目の標識がありました。その直後の景色がこちら。笹原が広がって、品良く下蒜山が立ち上がっています。

思わず「わーっ」と声に出してしまいましたよ。
振り返るとススキが風に揺れ、その中を一本道が通っています。

雲居平との標識がありました。気持ちの良い草原が続きます。

蒜山は花の山として有名らしく(田中澄江氏の「花の百名山」「新・花の百名山」には選定されていない)、もう秋だというのにそこかしこに花が咲いています。



何度でも振り返ってしまうのですが、来し方の稜線は本当に素晴らしい。左奥には倉吉の街の向こうに日本海が広がっている。

下蒜山山頂で大山が見えた!引き続き中蒜山へ

やがて下蒜山の山頂に到着しました。その瞬間目に飛び込んで来たのが、伯耆大山です。格が違う…威厳を感じますよね。
もちろん中蒜山、下蒜山の山々もいいのですが、どうしても伯耆大山に目がいってしまいます。伯耆大山の左のぴょこんと立っているのはたぶん烏ヶ山(からすがせん)ですね。

さて、現実に目を戻しますと、下蒜山からこれでもかと下ります。一段下っても、さらに一段を繰り返します。「まだ下るのか〜」と何回思ったことか。

鞍部まで下がって、覚悟を決めて登りだすと、意外としんどくなく、やがて左に回り込んできたなと思ったら尾根の上に出ました。ササ原の向こうに避難小屋が見えました。

頂上に近くなると葉っぱが色づいていて、まさに紅葉が始まったところのようでした。

避難小屋の手前で、中蒜山登山口からの道と合流します。中蒜山登山口には日本名水百選「塩釜の冷泉」があり、トイレも整備されていて人気があるそうです。下蒜山登山口から出発して、上蒜山をピストンして中蒜山登山口へ下り犬挟峠へ帰る人もいるようです。
避難小屋は綺麗に整頓されていました。無積雪期は、あんまり使う人はいないかもしれませんが、冬場はありがたいでしょうね。

避難小屋の向こうに山名標識がありました。標識のバックは上蒜山です。伯耆大山は雲がかかって見えなくなりました。

ここでインスタントコーヒーを作って、一服します。

上蒜山へも登り返して、登山口へ

上蒜山との鞍部付近のことをユートピアと呼んでいるようです。

ところどころに登山者の数をモニターするカウンターが設置されていました。

鞍部から登り返すと上蒜山の最高点(1,202m)です。出発から4時間10分。
三角点(1,198m)は北東に少し進んだところだと後で知りました。私は訪れなかったのでちょっと悔やまれます。

この時点で12時20分。下山して乗るコミュニティバスは湯船口発13時4分か15時29分ですが、13時4分には間に合わないし、15時29分には2時間あまり持て余すことになります。う〜ん、どうしよう。
下の写真は左から上蒜山、奥に下蒜山、右端に中蒜山です。

全ルートを通して、ツルリンドウがよく咲いていました。

槍ヶ峰は蒜山高原に突き出た尾根の突先で、高原を見下ろすことができます。(向こうに見える山の名前は、さっぱりわかりません)

上蒜山登山口から犬挟峠へ歩いて戻る その後は湯原温泉へ

上蒜山登山口には13時25分。わたしはどうも時間をゆっくり使って登山するのが苦手なようです(苦笑)
バスに乗るより15〜20分は早く到着すると見込むと、もうアイスもどうでも良くなって犬挟峠の下蒜山登山口まで歩く決心をしました。自転車とランニング用専用の道が整備されていて、ポクポクと歩きます。あまり暑くない時期でよかった。
ジャージー牛の鳴き声は聞こえましたが、姿は見えず。きれいなオートキャンプ場や、レストランなどの施設にも一切寄らず、16時前に犬挟峠の駐車場に到着しました。残った車は私の1台だけです。
立ち寄り湯は露天風呂で有名な湯原温泉の砂湯へ行きました。24時間無料で入れる混浴露天風呂です。みんな無口で一心に湯に浸かっています。
写真は風情のある旅館「油屋」です。元禄元年に創業したそうですよ。ジブリの「千と千尋の神隠し」のモデルの一つとも言われているそうです(岡山県観光連盟のHPより)。
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わたしは油屋さんの前の「居酒屋やっこ」でカキフライ定食(1,000円)を食べて、広見酒店で純米吟醸「湯原温泉」を買いました(2,400円)。お酒はお店の人に薦められて買ったのですが、酒店オリジナルのお酒のようでして「道理で」と思いました(笑)。
岡山県産雄町米100%使用で、製造者を見ると岡山県真庭市勝山の辻本店(つじほんてん)なので、中身は「御前酒」かもしれません。辛口ですが、旨味もあって美味しかったです。

蒜山は良かったですね。アップダウンが結構あって登りごたえのある日帰り縦走となりました。花も豊富で、6月頃にはカタクリが咲くそうですし、11月初旬には紅葉がきれいだそうです。
登山口へ戻る方法ですが、バスの時間に合わせて登ることができれば良いでしょうし、タクシーを頼んでも良いと思いますね。
入山口まで歩いて戻るのはご酔狂というものです!
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