
生石ヶ峰の紹介
関西でススキの名所といえば、奈良県の曽爾高原、兵庫県の砥峰(とのみね)高原、そして和歌山の生石(おいし)高原が頭に浮かびます。
曽爾高原と砥峰高原のススキが山中の緩斜面に広がっているのに対し、生石高原は尾根筋沿いにススキの原が広がっています。このため曽爾高原や砥峰高原のように全方位から包まれるような感じはありませんが、紀伊水道の海をバックに、まるでススキの尾根が海原を突き進む船のような(大げさ?)開放感を味わえます。
また空が広い尾根上ですので、夕暮れ時のススキも格別です。
山頂からは四国、淡路島、六甲山系、友ヶ島水道、和歌山市街のほか、護摩壇山や伯母子岳など奥高野の山々などを眺めることができます。
こうした景観も毎年3月に地元の方々が山焼きをして手入れしているそうです。感謝。
生石ヶ峰の駐車場 マイカー利用の場合
山頂近くや麓に駐車場があるため、多くの人がマイカー利用でアプローチします。10月から11月にかけては混雑が予想され、山頂付近の駐車場も拡充して対応してくれているそうです。またキャンプ場やレストラン、トイレもあるので、いろんな楽しみ方ができそうですね。
山頂周辺の散策だけの場合。無料、トイレあり。ススキのシーズンには第2駐車場など拡充しています。

麓から登山する方には、小川八幡宮の近くに駐車場があります。無料、トイレもあります。

生石ヶ峰に公共交通でアプローチ
公共交通を利用してアプローチするにはJR海南駅から出ている大十バスに乗る方法があります。終点の「登山口バス停」(1994年に廃線となった野上鉄道「登山口」駅の名残り)から、麓の登山者用駐車場「小川八幡宮近くの駐車場」まで片道1時間(実歩行タイム45分)なので、なんとか日帰りできそうです。
大十バス(海南〜登山口)580円。現金のみ。
登山者用駐車場から生石ヶ峰へのコースタイム
コースタイムは小川八幡宮近くの登山者用駐車場から直登コースで生石ヶ峰山頂まで2時間50分(和歌山県立自然公園HPより)です。下山は元来た道を下るか、少しロングになりますが名寄松コースを選択することになります。
周遊ルートとして桜の小径というルートがあるのですが、土砂崩れによって道が寸断され、2022年5月から通行止となっていて利用は勧められていません。今回私はそうと気づかずに桜の小径ルートで下山してしまいました。道は全体的に荒れ気味ですし、実際道は寸断されていましたのでやめたほうがいいと思います。参考程度としてください。
■生石ヶ峰 登山口バス停から 2025/11/3 実歩行タイム
大十バス「登山口」バス停(8:45/9:30)小川八幡宮(9:30/11:00)生石高原第一駐車場(11:00/11:20)生石ヶ峰(11:40/11:50)生石神社(12:00/13:30)小川八幡宮(13:30/14:20)「登山口」バス停
JR海南駅から「登山口」バス停へ

JR海南駅に着いたのは午前7時59分。海南駅を出て駅前ロータリーの端っこに大十バス「登山口」行きが停まっていました。最初は乗客もいましたが、そのうち私一人になりました。だいたいこのパターンですね(笑)

「登山口」バス停は大十バスの営業所があるところでした。あとから調べて知ったのですが、ここは1994年に廃線となった野上鉄道の「登山口」駅だったそうです。その名前の名残なのですね。

登山口から小川八幡宮まで

「登山口」バス停から貴志川を渡ると突き当たりにハイキングコースの標識があって県道169号線を右へ。すぐに上の写真の分岐に当たり、左の脇道へ入っていきます。
しばらくすると菖蒲滝不動明王となりました。えぐれたような岩窟に滝が一条落ちています。いかにも行が行われているような風情でした。

福井峠を越えて柿や柚子がなっている里山をテクテクと歩いていきます。

HPなどでは登山口から小川宮まで1時間とのことでしたが、45分ほどで到着しました。順調です。下の標識では大十登山口「駅」となっているので、野上鉄道の廃線前のものなのでしょう。ここで犬を連れた女性登山者が下山してきました。「きょうはどんどん登って行ってますよ」とのこと。後発隊なのは間違いないです。がんばろうと歩みを速めました。

直登ルートは名前通り…やがて第一駐車場に
車道を歩いていて、下の写真の南忠橋を渡り、すぐに左の山道に入っていきます。

山道に入ったとは言っても、しばらくはコンクリートで固められた道です。結構な急登でした。
道にはクイズが出されていて、時々わからないものがありました。「ABC消火器のABCとは?」なんてわかりませんでした。Aは普通火災、Bは油火災、Cは化学火災を表すそうです。勉強になりました!

大観寺に出てしばらく車道。

急斜面の耕作地には柚子がなっています。生石は柚子の産地なのです。

石が混じるあまりパットしない道が続きます。

点々と別荘が見られるようになり、何軒かやり過ごし、国民宿舎の廃屋も通り過ぎるといきなり第1駐車場に着きました。さすがにすごい人の数です。トイレあり、レストランありで、人に気圧されて早々に山頂を目指すことにします。なので、フォトスポットの笠石や火あげ岩に寄るのを忘れてしまいました。少し後悔…

振り返るとトイレやレストランの向こうに電波塔が見えます。ススキはいまが見頃で、風に揺れています。
生石ヶ峰のススキの原は尾根状に広がり、展望が抜群です

風に揺れるはいいけれど、ちょっと風が強すぎて寒くなるほどでした。皆さん行く際は防寒具をお持ちくださいませ。

ススキが揺れる風景って、どうしてこう詩的な気分にさせるのでしょうね。

北側に目を移すと、和歌山の市街地や友ヶ島水道、淡路島、たぶん四国も見えていました。六甲山系なんかも見えていたのではないかな。

尾根の先の左手には島々が見えています。湯浅の沖合の島でしょうかね。

ススキはなだらかな尾根筋に沿って群生しています。海を背景に遮るものがない中でのススキは、ほかではなかなか見ることができないロケーションです。来てよかった〜。

生石ヶ峰(870m)に着きました。関西百名山です。

時間もあるようなので、山頂でお昼ご飯とします。風を避けて南側の斜面に少し下って腰をおろしました。昼ごはんは魔法瓶のお湯でマルタイラーメンのカップ麺です。とりあえず温まりましたが、まだ寒い。手袋忘れたのが痛い。

頂上からは東への稜線を下りていきます。するとやや紅葉している気持ちの良い道となりました。こちらから登ってくる方もちらほらいらっしゃいます。
下山は桜の小径ルートを利用(現在通行止めのためお勧めしません)

登山道を下っていくと、白い大きな岩の脇を通ります。つべつべしていて素人目では何か素晴らしい岩ではないかと思いましたが、生石(しょうせき)神社の前に立ってみると、先ほどの大岩が背後にそびえています。御神体だったんだと納得。石英片岩という岩だそうです。989年に一夜にして岩が出現し神が降臨、社殿を建ててしまったとの言い伝えがあるそうです。

枝払いの枝がたくさん落ちていたり、なんだか荒れた道だなあと思っていました。札立峠付近ではトラロープがされています。「どうしてなのかな?」くらいにしか思わず、そのまま下っていくと、土砂崩れによって道が寸断されています。なんとか踏み跡を拾って降りたところにあったのが狼岩でした。


その後桜の小径というポイントに出ても、その道が通行止めとは気づかずに小川八幡神社に下りてきて、そこでようやく「桜の小径ルートは通行止め」と気づいたのでした。なんと鈍感。上りで使用した直登ルートをピストンするか名寄松コースを行くのが無難だと思います。

この時点で13時半ごろで、登山口バス停発14時40分に間に合いそうだと思い、そのまま登山口まで歩きました。
昔のガイドブックを見ていると、野上鉄道「登山口」駅から小川宮までバスで15分との記述がありました。野上鉄道ごあった頃はもっとにぎわいもあったのでしょうね。下の写真はかえりのばすのしゃちゅうから撮影した野上鉄道の展示車両です。1994年に廃線となった現在、往時を偲ぶことができるのはこうした鉄道車両くらいのものですね。

日本酒のお土産は海南の地酒、超久(ちょうきゅう)です。楽しみだ。

尾根上のススキの原は、やはり眺めが良くて気持ちがいいですね。キャンプ場で1泊して、夕暮れ時のススキの風景を楽しむのもいいなあと思いました。
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