登山家・花谷泰広さん「トップクライマーにはなれないと自覚していた」ラジオのインタビューで


ラジオ深夜便(2024/12/21の午前4:05〜)でアルパインクライマー花谷泰広さんのインタビューがおよそ40分間にわたって放送されました。NHK神戸放送局の広坂安伸アナウンサーが聞き手で、1ヶ月ほど前に総合テレビ「インタビューここから」でも広坂アナが花谷さんに聞いていたので、その時の長時間バージョンなのかもしれません。いずれにせよ、こんなに長時間のインタビューはあんまり聞いたことがなかったので、とても貴重です。らじるらじるでも12/28午前5時まで聞けるようですのでどうぞ!

花谷さんは1976年に神戸で生まれ、信州大学進学後はヒマラヤ登山に挑戦し、2012年にはヒマラヤのキャシャール峰の未踏ルートから登頂に成功し、2013年、登山界のアカデミー賞とも言われるピオレドール賞を受賞します。

ピオレドール賞受賞後、花谷さんはアルパインクライミングを突き詰めることをしませんでした。
「山に登るパフォーマンスで何か残すには、それなりの人、選ばれた人でないと維持するのは大変。前から僕はそういう人間ではないと、なんとなく…20歳台の頃から嫌という程味わってきているので、そこを突き詰めていくのは薄かった」「アルパインクライミングの世界の、パフォーマンスを追求して行って極限の登山をしていく分野では自分はトップクライマーにはなれないと自覚していた」と話します。
「僕の世代の前後や少し下の代には何人ものクライマーがピオレドール賞をとったりしている。そういう人と一緒にいると「こうにはなれないな、ここまでは振り切れないな」と思った」25歳の頃とのことです。

何が違うのか広坂アナが聞きますと
「24時間365日山とクライミングのことしか考えてないんじゃないかと思うほどのモチベーションと集中力。フィジカルの身体的な能力でいうと僕が優っている部分もあるが、最終的にはメンタルだとかモチベーション、心の部分が大きいと思う」
このことから「ピオレドール賞をとったときも世界のトップと肩を並べたとはとても思えなかった」ということです。キャシャール峰を登ったのは花谷さんが36歳のことでした。

いや私たちから見れば立派にトップクライマーです。まあレベルが違いすぎるのでしょうね(笑)。

以前から登山に限らず分野をどんどん広げて活動している方だなあと思っていましたが、花谷さんの語り口は実直、論理的で明解で、とても魅力的な方でした。

Rock&Snowの2013年春号に掲載されている「キャシャール南ピラー初登攀」の記録をもう一度読見ました。この号には横山勝丘、増本亮ペアの「パタゴニア縦走の時代」も収録されているのでその印象になったのだと思うのですが、ついに日本でも欧米並み、いや欧米をしのぐアルパインクライミングが普通になったのだなあと。
キャシャール峰南ピラーはリーダー花谷泰広に馬目弘仁、青木達哉の3人パーティー。7日間の記録は、すごく困難なルートのはずなのに軽やかに登山している感じがしました。

花谷さんはヒマラヤキャンプと称して若者にヒマラヤ登山の機会を作るほか、甲斐駒ヶ岳の七丈小屋を経営し、ワークショップ形式を取り入れながら登山道を整備しています。
山という資源をどう地域づくりに役立てていくか、行政を巻き込みながらいろんな活動をしているそうですが、一歩一歩前進しているのを実感できているそうです。
番組でも言っていましたが「もしかしたら、これまでで一番大きな山に登っているかもしれない」とのこと。
素晴らしいです。かっこよすぎです。

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