
バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバルとは
バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバルはカナダ・アルバータ州で毎年11月に開かれる山岳アウトドア映画のフェスティバルです。映画祭には300近くの作品が寄せられ、審査の後、50本ほどがツアーとして全世界40ヶ国以上で公開されます。
その名前は以前から聞いて気になっていたものの、外国のドキュメントというちょっと独特な映像構成に、ついていけるか自信がなかったのですが、今回初めて参加してみました。結論を先に言うと、行ってよかった、もっと前から来たらよかった、と思いました。
会場の雰囲気はピースフルで心地よい
プログラムはAとBの2つあって、片方だけだと前売りで1,500円、通しで買うと2,500円です。大阪会場は心斎橋パルコの14Fイベントホールで午前10時半開場ですが、その時間はすでに沢山の人が並んでいました。若い方もいますが、どちらかというと年配の方が多い印象です。多分毎年来られる常連さんなのでしょう。
私は大阪会場(10/26)でプログラムAだけ見たのですが、外国のドキュメンタリーではあっても、ナレーションなどがない映像のみの作品、映像とインタビューのみの作品など、作品のテイストも様々ですし、長いと感じるような作品は全くありませんでした。会場の雰囲気も全体的に協力的でピースフルな雰囲気が漂っていました。
映像がいろんな形でいつでもどこでも見ることができる時代ですが、こうして同じ時間と空間を共有することも大事なのかもしれないと思いました。日本でもこういうフェスができないかなと考えたり…
日本では北海道・東川町(11/9)、富山・朝日町(11/15)のツアーが残っています
以下は見た作品の感想です。YouTubeなどでも見ることができるので、検索してみてください。
プログラムAの作品紹介
2 Legs Is 2 Easy
登りは義足をつけて、下りは片足でスキー。滑る時の上半身の斜面への姿勢がかっこいい。両親の普通に生活させる方針だったのも勇気があった。たぶん相当な努力があったと思うが、さらりとインタビューに答えているのがクール。
109 Below
ワシントン山はなだらかな山で、視界が悪いとルートを見失いそうだ。冬季の冷え込みは厳しく時に遭難が発生する。救助するのはボランティアたちによるレスキュー隊だ。1982年のある遭難からレスキュー隊が雪崩に巻き込まれる2次遭難が起き、1人が死亡した。その事故が議会を動かし、ボランティアレスキュー隊員にも保険や労災がおりるようになったそうだ。1次遭難の男性のその後の生き方も素晴らしい。
Of A Lifetime
世界的スノーボーダーが弟と娘と南極大陸で誰も滑ったことがないラインを求めてヨットで旅をする。船長や航海士、コックや山岳ガイドも同行するというなんとも贅沢な旅である。娘のスキーヤーとして、人間としての成長にも優しい眼差しが注がれ、暖かい気持ちにさせる。
Eliot Jackson Drop the Mic
第一線を退いたマウンテンバイクの選手のエリオット・ジャクソン。森の中を疾走する姿をカメラが追う。一体どのように撮影したのか興味深い。ジャジーな音楽とのコンピも格好いい。
Keep It Burning
カラコルム・バルトロ氷河にある「ネームレス・タワー」の「エターナル・フレーム」はウォルフガング・ギュリッヒがルートを開き、その後フーバー兄弟がフリー化したことで知られている。そのルートを71歳の父親と兄と3人でフリーで登る企画。登ること自体はすごいのだけど、クラックに事前にカムが設置されているのはOKなの?と思った。71歳のおじいちゃんがいい味出している。
The Last Observer
スウェーデンの有人の気象観測所で働き続けた老夫婦の物語。とても穏やかで、人間にとっての幸せとはなんだろうと考えてしまう作品でした。この作品がリストアップされていて、とても気になったので今回映画祭のチケットを買ったのでした。期待通りでした。大変だったこともあるだろうし、たまには夫婦喧嘩もあっただろうに一切そんなことには触れないのも潔いというべきか。
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